高齢化の進行に伴う在宅医療の需要増に対応するため、都医師会と都は、担い手となる医師への研修を本格化させる。都医師会は「在宅医療塾」を開講し、都は終末期のみとりに必要な知識を学ぶ講座を初実施する。

 塾は九月に始まり、月一回のペースで来年五月まで九回を予定。終末期医療や認知症などについての講義や、肌質などが人間に近い人形を使った実習があり、実践的な内容を教える。都の講座は来月開催。家族との付き合い方や、介護士ら他職種の専門家と連携する方法を学ぶ。講座は来年度以降も続ける方針。

 こうした取り組みを行う背景には、高齢者が増える中、医療施設のベッド数に限りがあることなどがある。都の試算では、七十五歳以上の後期高齢者の数は団塊世代が七十五歳を迎える二〇二五年に、一五年の百四十四万人より四十七万人多い百九十一万人になる。

 一方で、一三年時点で訪問診療を受けている人は九万人余り。訪問診療の需要は二五年にその一・六倍の十四万三千四百人になるとみられているが、体制は十分とは言えない。日本医師会が全国の診療所(ベッド数十九床以下)を対象に実施し、今年二月に結果を公表した調査では、介護やリハビリを含めた在宅医療を「今後も実施しない」と回答した割合が51・5%に上った。

 調査では、二十四時間体制の往診や医師、看護師の確保、適切にみとりができるかどうかに不安を感じて踏み出せないと考えている診療所が多かった。都医療政策課の担当者は「区市町村とも協力して検討し、きめ細やかな対応ができるようにしていく」と話した。 (木原育子)