「花さき山」などの作品で知られる版画家・きりえ作家滝平二郎さん(一九二一〜二〇〇九年)が手掛けた希少な手づくりの版画絵本「裸の王さま」が、筑西市に保存されていたことが分かった。現存するのはこれまで、遺族が所有しているものだけとみられていた。市内のしもだて美術館で八月二十七日まで特別展示している。

 新治郡玉里村(現・小美玉市)生まれの滝平さんは、高校卒業後、独学で木版画を習得。自然と共に生きる人々や自身の戦争体験などを題材に作品を発表し、木版画家としての地位を確立した。

 版画作品と合わせ、一九五〇年代後半からは本の挿絵なども手掛け、特に児童文学作家の斎藤隆介さんとのコンビで、絵本「八郎」、「花さき山」、「モチモチの木」などの作品を世に送り出した。六〇年代後半からは、きりえも創作するようになった。

 「裸の王さま」は五〇年代に完成した版画絵本。十七ページでジャバラ式になっている。版木を彫って刷るところから、レイアウトや色合いに至るまで全て滝平さんの手づくり。

 五十冊ほどを制作、親しい友人や知人に贈った。試作版と、絵本として刊行するための原画版の二冊だけが現存するとされていた。試作版にはミスプリントなども見受けられるという。

 市に保存されていた絵本を美術館が調べ、手づくりの絵本の一冊と判明した。

 美術館は「保存状態は良好。試行錯誤もあったようだが、後に手掛ける絵本の原点の一つと言えるのではないか」と話している。 (原田拓哉)