大事な場面で押し出しの四死球−。準決勝まで、見事なリリーフ登板を披露してきた雄姿は、決勝のマウンドで見ることはできなかった。

 託された場面は五回。1点を先制され、なおも一死満塁のピンチだった。「生命線」のスライダーを投げ込む。だが、相手打者は冷静に見極めて「振ってくれない」。

 心の揺れが球筋を乱す。「縮こまり上体が突っ込んで、ショートバウンドばかりに」。連続押し出しで2点を献上。内野ゴロの間にもう1点を追加された。

 ベンチに戻り、下を向くことなく「甲子園に行くぞ」と仲間と声を張り上げる。だが、役目を果たせなかった悔しさが残っていた。六回、回ってきた打席でそれをぶつけると、打球は右翼場外へ消えた。反撃の2ラン。「練習試合を含めて初の本塁打」が自軍ベンチを盛り上げる。しかし、味方打線が後に続くことはなかった。

 練習を見学して、礼儀作法など野球以外も重視する点に共感して、栃木県から浦和学院に進んだ。課題はスタミナ。今春、毎日計20キロのランニングと腹筋最低1000回を自分に課し、1日3キロの白米を平らげるようにしてきた。準決勝まではそれが結果につながったが、あと一歩届かなかった。

 悔し涙を流さないのは、早くも来夏を見据えたから。「次は気持ちを強く。追い込まれた場面で自分が出て、(チームの流れを)修正できるところまでレベルアップしたい」。(加藤木信夫)