第99回全国高校野球選手権大会の東東京大会決勝が二十九日、神宮球場で行われ、二松学舎大付が東海大高輪台を9−1で下し、3年ぶり2回目の夏の甲子園出場を決めた。三十日は西大会決勝の早稲田実対東海大菅生が同球場である。

 二松学舎大付は二回、松江京主将の右前適時打など集中打で5点を先制し、三回にも永井敦士選手の二塁打などで3点を追加。計14安打の猛攻を見せたほか、7盗塁と積極的な走塁も光った。エースの市川睦投手は緩急をつけた投球で、相手打線を3安打に抑えて完投した。

 ノーシードで勝ち上がり、初優勝を狙った東海大高輪台は序盤に大量失点。三回途中からリリーフに立ったエース宮路悠良(ゆら)投手がそれ以降は1点に抑え、三回に1点を返すなど粘ったが、前半の投手陣の崩れが最後まで響いた。

<ヒーロー>「高校生活一番の当たり」 永井敦士選手(二松学舎大付3年)

 初球のストレートを迷いなく振り切ると、会心の当たりが左中間のフェンスを直撃した。三回表、4番永井敦士選手(三年)の二塁打で、二松学舎大付は貴重な2点を追加。「高校生活で一番の当たり。『絶対に打つ』という強い気持ちだった」と胸を張った。

 都立足立西高の球児だった父寿和さん(52)がコーチを務める学童野球チームで、小学二年の時に野球を始めた。高校では一年秋からベンチ入りし、主に4番を任されて高校通算47本塁打を打った。4番は好機に打順が回ってくる。身長178センチ、体重91キロという恵まれた体に加え、「心の面でも強くなろう」とずっと言い聞かせてきた。

 しかし、今大会は決勝までの6試合で、長打は初戦の三塁打1本だけ。打ち方を試行錯誤しては気持ちが落ち込み、表情が暗くなった。エースの市川睦投手に「野球を楽しんでいないのでは」と声を掛けられた。

 「初球から自分のスイングでいこう」と気持ちを切り替えた結果がこの日の二塁打になった。スタンドで見守った寿和さんは「やっと打ってくれた」と喜んだ。永井選手は「野球は技術だけでなく、心も大事。甲子園でもチャンスで打って、皆を盛り上げたい」と夢舞台を見据えた。 (増井のぞみ)

<熱球譜>「もう1点もやらない」 宮路悠良投手(東海大高輪台3年)

 「もう1点もやらない」−。三回表、救援のマウンドに向かいながら宮路悠良(ゆら)投手(三年)は誓った。味方投手陣が8点を失い、なお2死二塁のピンチ。相手5番打者を真っ向勝負の直球で追い込み、外角のスライダーで遊ゴロに打ち取った。九回まで6回3分の1を投げ抜き、散発5安打、失策絡みの1失点のみで自責点はゼロだった。

 先発、2番手が崩れての敗戦。だが、宮嶌(みやじま)監督は後悔しなかった。「宮路はリリーフでこそ力を出すタイプ。これがうちのパターン」

 「練習試合さえ負けてばかり」(山木主将)のノーシードチーム。変わったのは、背番号1ながらリリーフとして使われてきたエースだった。「1試合1試合、投げるたびに制球力が良くなった」と木下優成捕手は言う。

 準々決勝の帝京戦、準決勝の東亜学園戦で接戦を制したのも宮路投手の力が大きい。大会屈指の右腕と評されるようになり、この日も複数のプロ球団のスカウトが1球1球に注目していた。夢の大舞台には届かなかったが、悔しさを上回る充実感。「もっと上のレベルで力を試したい」と笑顔で語った。 (梅村武史)

◆監督・主将談話

<二松学舎大付・市原勝人監督> 選手が予想を超える活躍をした。準決勝で関東一にコールド勝ちしたことが大きい。甲子園では泥くさく、しぶとく、まずは初戦突破を目指す。

<同・松江京主将> 新チームを結成してから目標だった甲子園出場が達成でき、うれしい。チームワークと明るさが持ち味のチーム。全てを出し切って全国制覇したい。

<東海大高輪台・宮嶌孝一監督> 選手は力をつけ、一生懸命戦った。きょうは後半勝負のつもりだったが、(序盤で)ああいう点差になってしまった。声援が力になりました。

<同・山木瑠也主将> 決勝まで進めるとは思っていなかった。全員野球でここまできた。きょうは相手の投手が良かったが、力のある後輩がたくさんいるので来年が楽しみ。