第99回全国高校野球選手権神奈川大会は二十九日、横浜スタジアムで決勝戦を迎え、横浜が9−3で東海大相模を破り連覇を果たした。優勝は17回目で、甲子園球場で八月七日に開幕する全国大会へ出場する。横浜は初回に失策で失点したが、その裏、4番増田珠(しゅう)選手の適時打で同点に。三回には増田選手、市村拓巳選手の本塁打で主導権を握ると、七回の山崎拳登選手の3点本塁打で試合を決定付けた。守ってはエースの板川佳矢(よしや)投手が要所を抑えて完投した。

 増田選手は、この日の本塁打で、二〇〇八年の東海大相模の大田泰示選手(現日本ハム)に並ぶ大会通算最多の5本塁打を記録。また、大会新記録の4試合連続本塁打となった。

◆投打のヒーローが日替わりで誕生

 ラストバッターを中飛に打ち取ると、マウンドに駆け寄った選手たちが人さし指を突き上げ、喜びを爆発させた。3本塁打を含む12安打で効率的に得点を奪って相手を突き放し、189校の頂点に立った。

 スタメンを固定せず、日替わりで投打のヒーローが生まれて勝ち上がった。登録選手20人のうち1、2年が14人を占めるが、決勝は3年が躍動。増田珠中堅手と市村拓巳一塁手は、三回にそろって本塁打を放った。主将の福永奨捕手は、ピンチでも冷静なリードで、2年生エースの板川佳矢投手から低めの変化球を引き出した。

 就任2年目の平田徹監督は試合後「疲れました」と吐き出したが、二回以降は一度も先行を許さない横綱相撲だった。福永主将は「自分たちはあまり強いと思っていない。チームの持ち味は泥くさいプレー。挑戦者として、甲子園では昨年より一つでも上に行きたい」と抱負を語った。 (大平樹)

<熱球譜>「攻める姿勢の徹底」後輩に託す 東海大相模・喜友名秋幸主将(3年)

 4点を追う七回、無死一、二塁の好機で打席に。初球、バントの構えをすると三塁手が大きく前に出るのが見えた。「アウトでもいいから進塁させてつなげよう」と低めの直球をたたきつけた。「狙い通り」、高く弾んだ打球は前進した三塁手のグラブの上をかすめレフト前に転がった。1点を返し、味方ベンチの反撃ムードが一時高まった。

 全国から精鋭が集まる強豪校を束ねる主将。「自分はチームの中で圧倒的にランクの高い選手ではない」と謙虚に話す。今大会は3、6、7番打者として全試合に先発出場し、長打は二塁打1本ながら「つなぐ意識」で計9安打を放った。

 「主将としてできることは、チームが掲げる攻める姿勢の徹底」。この日もピンチの場面で「四球でもいいから逃げるな」とマウンドに何度も駆け寄った。

 「甲子園で優勝したくてこの学校に入った」。一年生だった一昨年は、先輩たちが全国制覇を果たすのを甲子園のスタンドから見ていた。憧れの舞台への出場をあと一歩のところで阻まれ、閉会式では泣き腫らした顔で準優勝旗を受け取った。「悔しいが、下級生には相模の野球で甲子園に行ってほしい」 (加藤豊大)