船橋市中央部で、6月から本格的な発掘調査が始まった取掛(とりかけ)西貝塚。国内最古の「動物儀礼跡」が見つかっており、市は市内で初の国史跡の指定を目指している。これまでの調査の結果、一帯には大規模な集落が広がっていたと推測され、関東地方では最大級の縄文早期(約1万年前)と縄文前期(約6000年前)の集落跡とみられている。 (保母哲)  取掛西貝塚があるのは、同市飯山満町から米ケ崎町にかけての台地。標高二五メートルで、すぐ南側は平野部へとつながる斜面になっている。面積は約七万六千平方メートル。  発掘調査は、宅地造成などに伴い一九九九年から進められており、これまでに縄文前期と早期の竪穴住居跡が各十軒、貝塚などが出土した。貝塚は、東京湾東岸部で最古とみられている。  海水と川の水とが混じり合う汽水域に生息するヤマトシジミが主体の貝塚も発見。約一万年前と推測され、こうした貝塚は県内で利根川沿いの香取市・鴇崎(ときざき)貝塚と、神崎町の西之城貝塚でのみ見つかっている。  貝の化石を多く含んだ貝層の中からは、水牛の角のような形状であるツノガイ類で作られたビーズ状のアクセサリー「垂飾(たれかざり)」が二千点以上も出土。いずれも、この貝塚で作られたらしい。  二〇〇八年には竪穴住居跡に積もった貝層の下から、イノシシの頭部の骨七個と角を含めたシカの頭部の一部が並べられた状態で発見された。頭部の一部は黒く焼け焦げており、約一万年前に何らかの儀式をした動物儀礼跡と考えられている。これまで北海道など各地で見つかった四遺跡を含め、動物儀礼跡では国内最古と分かっている。  こうした貴重な出土品が相次いだため、市は今年六月から、本格的な学術調査に着手した。三カ年をかけて現在は農地などになっている未調査の約五万五千平方メートルを調べる。  船橋市内では宅地造成などの開発に伴い、一九六〇年代から市内各地で次々と遺跡が見つかっており、現在では二百カ所余が確認されている。  取掛西貝塚でも、発掘現場のすぐ脇に新築住宅があり、市教委埋蔵文化財調査事務所の石坂雅樹所長は「市内各地で宅地化が進む中、(取掛西貝塚は)奇跡的に手つかずで残った遺跡」と指摘。一帯からは土器片が出土していることから「当時は集落が広がっていたのは間違いない」と話す。