日本原子力発電(原電)東海第二原発が立地する東海村で三十日、過酷事故を想定した初の広域避難訓練があった。住民が一時集合場所からバスに乗り、村周辺の高速道路を走行する小規模な訓練だが、村民や職員、原電社員ら四百六十人が参加。山田修村長は「一定の効果は得られた」と述べ、結果を次の訓練と避難計画に反映させる方針だ。一方、住民からは「体の不自由な人の参加を」「放射性物質が放出された想定でやるべきだ」などと現実味のある訓練を求める声が上がった。 (山下葉月)

 東海村は、全域が原発からおおむね五キロ圏の予防防護措置区域(PAZ)に入る。県の避難計画では、過酷事故が発生した場合、村民約三万八千人が県南三市の取手、守谷、つくばみらいの三市に避難することになっている。

 訓練は、同日午前七時、落雷によって外部電源が喪失し、原子炉の冷却機能が失われたと想定。放射性物質は放出されていないとした。村は午前八時半ごろ、村役場に災害対策本部を設置し、国や県とテレビ会議で被害状況などを共有。その後、防災行政無線や緊急速報のメールで住民に避難を呼び掛けた。

 避難指示を受けた村松、真崎両地区の住民ら二百三十人は、一時集合場所のコミュニティセンターに集合。バス九台に乗り込むまでの手順を確認した。

 参加者からは「車椅子利用者や体が不自由な人などの参加も必要なのでは」「住民全員参加の訓練を」といった指摘もあった。五日分の食糧や衣類をトランクに詰めて参加した主婦の津幡美香さん(46)は「放射性物質が放出されたと想定すれば、より現実味のある訓練ができるのでは」と話し、訓練を繰り返し実施することを求めた。

 訓練後、山田村長は「住民がバスに乗って避難するという体験をしてもらったことに関しては一定の効果はあった」と評価。一方で「三市との合同訓練をやらないと広域避難とはいえないので今後、検討したい」と話した。

 事故が起きた時、原発からおおむね三十キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)に暮らす九十六万人が避難する。山田村長は「全村民が即時避難できなければ村長として責任は果たせない。UPZの人が安全安心に避難できる方法を、県とも協議したい」と話した。