真っ赤なハサミを振りかざすアメリカザリガニ。市内も都市化の影響などで水辺が減っているように思えるが、川崎市宮前区神木本町の県立東高根森林公園では、園内の池でザリガニ釣りができる。外来生物で繁殖力が強く、生態系に悪影響を与えるため、来園者に楽しみながら駆除を手伝ってもらう仕掛けだ。

 「池の小魚を食べるだけでなく、稲の根っこを切ったり、田んぼのあぜに穴を開けたりする。駆除しても駆除しても出てくる」。同園副所長の川口哲広さん(59)は困り顔で話した。駆除をレクリエーションにつなげる逆転の発想は親子連れを中心に好評で、年間数千匹も駆除されているという。

 持ち出すと別の場所で増えるおそれがあるため、釣ったら園入り口のバケツに入れるのがルールで、池に入ったりアミを使ったりすることは禁止だ。スルメなどの餌とたこ糸だけ持参すれば、園内に落ちている枝に結んで池に垂らすだけ。記者も童心に帰って挑戦してみた。コツンコツンと手応えがあったので引き上げてみたが、何も釣れなかった。「コイかもしれない。生きもの相手だから釣れないこともある」と川口さんが慰めてくれた。

 「釣果」は得られなかったが、入り口のバケツにはザリガニがうようよ。悔しさ交じりに、体長約一〇センチほどの小さめのザリガニに餌を近づけると、ハサミでがっちりつかまれた。川口さんによると、園内で釣る際は、木道の下や岩陰など、ザリガニが身を隠しやすいところに餌を近づけるのがコツだという。

 一一・三ヘクタールの公園は一九七八年に開園。弥生時代の遺跡を埋め戻した中央の芝生広場を取り囲むように遊歩道が設けられ、一周は歩いて約四十分。一部は木道になっている。点在する九つの池と水路が奏でる水音や木陰のおかげで、涼しさを感じる。すぐ西側を東名高速道路が走っているのに、驚くほど静かだ。約四十種類のチョウと、四季折々で楽しめる植物があり、アマチュアカメラマンも多く訪れる。

 夫婦でビニールシートを敷いてくつろいでいた多摩区の木村健史さん(40)は、月に二回ほど訪れるという。「特別な何かがある訳でもないけど、アクセスが良いし、気分転換にはちょうどいい」 (大平樹)

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 園の住所は、宮前区神木本町二の一〇の一。八月二十四日午前十時から、アメリカザリガニの釣り大会を開く。定員五十人で参加無料。持ち物はバケツと釣り具。事前申し込みが必要。問い合わせは、県立東高根森林公園=電044(865)0801=へ。