二〇二〇年東京五輪・パラリンピックで県産の農産物を食べてもらおうと、県は独自の品質認証「ちばGAP(農業生産工程管理)」の導入を進めている。農薬や肥料を適切に使うなどして、食品の安全確保に努めている農家にお墨付きを与える制度で、将来的には輸出拡大も視野に入れる。 (村上豊)

 いすみ市の水田で七月十九日、ちばGAPの導入に向けた模擬審査が行われた。認証の審査や品質改善の指導を担う人材を育てるのが目的で、JAや県の職員約二十人が、審査員養成機関の担当者を講師にチェック方法を学んだ。

 審査されたのは農事組合法人「みねやの里」。集落の二十一戸でコメ十四ヘクタールを有機栽培や減農薬などで栽培し、ちばGAPの取得を目指している。代表理事の矢沢喜久雄さんは「これからの農業では生産工程を書類で示す必要がある。昔のように大ざっぱではだめ」と話す。

 模擬審査では講師から、「ほ場の管理帳簿は」「販売先からのクレーム記録を残していますか」「熱中症への注意を呼びかけてますか」といった質問が飛び、農薬などの保管場所について改善点を指摘される場面も。矢沢さんは「気が付かなかったこともあり、いい勉強になった」と現場の改善に意欲を示した。

 GAPは、消費者に安心してもらうために、食品安全、環境保全、労働安全の三分野で基準を設ける制度。国際規格のグローバルGAPや国内版のJGAPのほか、都道府県が取り組むものもある。東京五輪では大会組織委員会が、選手村などの食材調達でGAP取得を求める方針だ。

 県内ではレスリングやサーフィンなど八競技が開催される。だが県内農家で取得したのは、グローバルが三、JGAPは三十一にとどまる。制度づくりを進める都道府県は三十八あり、このままでは地元会場の食事で他県の食材を扱う事態になりかねない。千葉県も独自の認証を設けることにした。

 ちばGAPはコメ、野菜、果物の三品目が対象。今後半年かけてテスト産地で審査項目などを決めて、来年二月から本格運用を見込む。制度を通して農家の経営効率化や農産物の品質向上を図るほか、輸出拡大を見据え、国際的に通用するグローバルGAP取得の足掛かりになればと考える。

 GAPの普及でネックとなるのが、年間数十万円かかる認証の取得と更新の費用だ。中小規模の農家には負担となる。県安全農業推進課によると、五輪・パラリンピックの公式スポンサーではないため、「食材を供給しました」とPRすることはできないという。制度の普及は、食品安全の大切さを生産者側に理解してもらえるかにかかっている。