「想定外」と言うと叱られるか。リーグ戦で負けない戦いを続ける。5月7日の第10節、鳥栖に0−1で敗れた姿からは想像しがたい。3試合連続無得点のどん底状態…。だが次節から7月29日の第19節までの9試合を6勝3分けとし、首位・C大阪とは勝ち点「7」差。まだ背中が見える7位につけている。

 開幕以降を振り返ると、先制した試合は10勝4分けと負け知らず。決して多くない得点(第19節終了時で8位の25得点)を最少失点(同1位の17失点)の堅守が支える。

 無論、守備の中心にはCB中沢佑二(39)、全試合にフル出場し好プレーを連発するGK飯倉大樹(31)がいる。加えてSBの山中亮輔(24)、松原健(24)といった今季移籍加入組の存在が大きい。試合を消化するごとに得意の攻撃参加だけでなく、守りの備えが良くなったことが効いている。

 最終ラインと連動する守備的MFでは、同じ移籍組の扇原貴宏(26)が5月末から先発メンバーに定着したのも安定感につながっている。扇原はU−16(16歳以下)からの年代別日本代表でステップを踏み、22歳でフル代表入り。将来を嘱望されながらケガもあって伸び悩んでいたが、ここにきて守備はもとより、正確な長短のパスを操り、攻撃に変化をもたらしている。

 想定外といえば、エースのMF斎藤学(27)にいまだリーグでの得点がないことか。マリノスユースで育ち、J2愛媛での武者修行から戻った2012年以降、シーズンの得点を6、4、4、7と重ね、昨季は待望の二桁10に乗せた。五輪やワールドカップで代表経験もし、脂の乗った今季はさらなる高みを目指していたのだが…。

 高速で、しかもいかようにも変化をつけられる自在のドリブルはリーグ随一と言っていい。チャンスメークでチームに多大の貢献をしていることも言をまたないが、得点ゼロは寂しすぎる。出場17試合、プレー時間1457分間。斎藤自身、忸怩(じくじ)たるものがあるに違いない。

 今季の公式戦初ゴールは7月12日、天皇杯3回戦の沼津戦で挙げたが、直近29日のリーグ第19節、清水戦では自らのドリブル突破でファウルを誘って得たPKを相手GKに止められ、天を仰いだ。

 MF天野純(26)や前田直輝(22)たちが力を蓄え、チーム力は少しずつ上がっている。そこにエース斎藤のゴールが加われば戦いはさらにいい形になっていく。

 J1クラブの目標の一つであるルヴァンカップ制覇はグループリーグ敗退で消えた。悔しさをかみ締め、残る15試合のリーグ戦を大事に戦っていくほかない。

 首位の背中は遠のくのか、近づいてくるのか。8月に予定される5試合は、大きな意味を持つ。

 (スポーツライター・財徳健治)