写真や版画の転写や複製の技術と、絵画などの手仕事の技術の可能性を探る企画展「2D(にじげん)プリンターズ」(東京新聞宇都宮支局後援)が、宇都宮市桜の県立美術館で開かれている。九月十八日まで。

 近年、3Dプリンターが出現したことから、絵画や写真などの二次元の芸術の価値を「社会を批評するもの」として改めて考えてもらおうと企画された。約二百五十点が並んでいる。

 益子町出身で世界で活躍する田中功起さんの作品「世界を救うためのプラン・ドローイング」は、一人の男性が津波や隕石(いんせき)衝突から地球を守る様子を色鉛筆などでコミカルに描いている。学芸員の山本和弘さん(59)は「芸術が人類を救うという心意気で制作しているのではないか」と推察する。

 ドイツで発生した反ユダヤ主義の暴動「クリスタルナハト」や、米中枢同時テロなど人が起こした悲惨な事件に関する写真を作品にしたものや、情報が消費されていくことへのアンチテーゼとして世界中の新聞紙をレンガに転写した作品などが展示され、芸術の有用性を訴えている。

 山本さんは「子どもから大人まで楽しんでもらえるような盛りだくさんの企画展。美術が役に立つものかどうか、考えてもらえれば」と話している。 (猪飼なつみ)