比企丘陵を中心に古くから受け継がれる米作り「ため池農法」を日本農業遺産に申請しようと、滑川町など八市町とJA埼玉中央、JAくまがやが「比企丘陵農業遺産推進協議会」(会長・吉田昇滑川町長)を設立した。

 大きな川がない比企丘陵周辺では、谷間にある「谷津田」と呼ばれる水田で、ため池の水を利用してきた。水利の調整や沼普請、沼さらいなどの共同作業で、農村コミュニティーが形成されてきたとしている。

 協議会事務局の滑川町産業振興課によると、八市町には貯水量千立方メートル以上のため池だけで三百五十三あり、滑川町には百十三ある。同町では小さいため池も含めると約二百に上るという。

 同町では六世紀後半ごろから、ため池農法が存在したと推測されており、一六九八(元禄十一)年の「和泉村(現滑川町和泉)明細帳」には同村に十のため池があることが記されている。

 同課の吉田浩課長は「後継者不足でため池の管理が難しくなってきている。伝統を維持・継承していき、谷津田米に付加価値を付けることで、プライドを持って生産に取り組んでもらいたい」と日本農業遺産申請の狙いを話す。県の承認を受けて来年、農林水産省に申請する予定。参加市町は滑川町のほか、東松山、熊谷、深谷の各市と嵐山、小川、吉見、寄居の各町。 (中里宏)