長崎の原爆投下から七十二年となる九日、ピアニスト樋口あゆ子さん(46)=目黒区=が、平和を願う恒例の演奏会を渋谷区松濤一のタカギクラヴィア松濤サロンで開く。太平洋戦争の体験者が戦時下の生活や思いを話す時間もあり、クラシックを楽しみながら、平和の大切さをかみしめる二時間になる。 (小川慎一)

 演奏会は二〇〇三年から始まり、十五回目。八月九日は樋口さんの誕生日で、当初はそれを記念する予定だった。しかし、イラク戦争が起きる直前だった同年一月、ジャーナリストの故・筑紫哲也さんが「一人の人間として平和維持のために何ができるか」とテレビで問いかけていたのを見て、演奏会の趣旨を変えた。

 同居していた父方の祖母も、樋口さんと同じ誕生日だった。祖母から「一九四五年の誕生日は防空壕(ごう)にいた。平穏に祝えるのはありがたい」と聞かされて育ったこともあり、八月九日には特別な思いがある。

 演奏会は、樋口さんによる被爆者の詩の朗読で幕開け。趣旨に賛同したピアニストやフルート奏者とともに、クラシックの名曲を演奏する。中学二年と小学六年のボーイソプラノ二人の合唱も。戦争体験者の話を挟み、最後に樋口さんが自作曲「美しい命2017〜平和の感謝と鎮魂の祈りをささげる」を披露する。

 三年前に政府が集団的自衛権の行使を容認し、今年五月三日には安倍晋三首相が憲法改正を目指すことを表明したことに、樋口さんは不安を隠さない。「三歳の長女が大きくなった時も、平和であるためにどうしたらいいのか。その思いを分かち合えるようなコンサートになれば」と話す。

 午後七時開演、全席自由で三千円(定員百人)。問い合わせは、タカギクラヴィア(午前十時〜午後七時)=電03(3770)9611=へ。