「梶山静六が連れてきた橋本(昌知事)を、息子の梶山弘志が肩たたきした。引退するべきなんだ」

 経済産業省元職員の大井川和彦さん(53)を擁立した自民党県連幹部はそう表現し、橋本知事(71)の七選を阻止したいとする。

 旧自治省出身の知事は一九九三年、自民など四党の推薦を受け初当選。選挙では、自民の重鎮だった故・梶山静六元官房長官が、全面的に支援していたとされる。

 現在の県連会長は、静六氏の長男の弘志衆院議員。三日の内閣改造で地方創生担当相として初入閣した。梶山会長は、知事について「恨みはないが、長く務めることで、行政に弊害も出てくる」と多選を批判。県連関係者によると、思い通りに動かない知事に、不満も募らせていたという。

 だが、自民の思惑通りとはいかない。八年前は対抗馬を立てたが、勝てず、四年前は候補者さえ見つからなかった。今回は、東京都議選で惨敗を喫し、仙台市長選で野党の支援候補に敗れた後の選挙で、強い逆風が続く。

 それだけに、県連は、選挙の実動部隊となる自民県議四十五人の締め付けを図る。党関係者によると、百万円強の現金が、全員に配られた。県連幹部は「党勢拡大のための組織対策費で、違法な金ではない。積極的に選挙応援しているか、チェックする。造反はない」と断言する。

 一方、大井川さんへの推薦を発表した公明。当初は、自主投票として、支援を明言してこなかった。

 だが、七月に入り方針を転換。背景にあるのは、公明が都議選で、蜜月関係の自民との選挙協力を解消し、自民惨敗を招いたことだ。党本部が「自公の関係修復を図りたい」という意向を党県本部に伝えたことで、大井川さんを支援する流れができた。

 それでも、自民との温度差は消えない。県本部は、日本原子力発電東海第二原発(東海村)の再稼働に反対の立場で、自民とは相いれない。都議選後の七月中旬、水戸市内で大井川さんと共同会見に臨んだ県本部の井手義弘代表は「既に現職を応援している党員や創価学会員は、そのまま続けてもらって構わない」と明言し、緩やかな支援にとどめる。

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 告示まで、あと四日に迫った県知事選には、無所属現職の橋本昌知事(71)、自民と公明が推薦する無所属新人の大井川和彦さん(53)、共産など六政治団体が推薦する無所属新人の鶴田真子美さん(52)が立候補を予定する。推薦する政党や団体はそれぞれの思惑を抱え、選挙戦に走り出している。その内幕を追った。(この企画は酒井健が担当します)