JR石川町駅前(横浜市中区)の石川商店街各店が加盟する協同組合理事長を務める傍ら、周辺の商店街も巻き込んで石川町エリアの活性化に努める。今年三月、近隣の商店街が空き店舗を利用したコミュニティーカフェ「マーケットテラスカフェ石川町」を整備し、運営を任された。カフェは中村川沿いにあり、川を生かした地域づくりや地区間連携にも力を注ぐ。

 小さいころから石川町で育った。中村川の護岸は現在より低く、川の上空をふさぐように通る首都高狩場線も未開通だった。「釣りをしたり、水上生活をしている舟に乗って遊んだり、川は身近な存在だった」。ただ、当時はまだ川に特別な思いはなかった。

 大学卒業後、父の経営する手芸店で勤務。三十二歳のとき、転機が訪れる。「組合が代替わりを目指していた」。全国的にも異例に若く、商店街の理事長に。ちょうど、みなとみらい(MM)線の開通年。元町や横浜中華街の最寄り駅は石川町だけだったが、MM線の駅が最も近くなり「お客さんの流れも変わった」。

 商店街活性化は急務となった。石川町エリアの歴史を盛り込んだ地図を作るなど、魅力のPRにも取り組む。一五年には、周辺の三つの商店街と連携し「石川町活性化委員会」を組織。以来、通りに飲食ブースを並べる「裏フェス」を定期的に開いている。

 さらなる広域連携を模索するうち、幼いころに中村川で遊んだ原風景がよみがえった。一二年、上流でつながっている大岡川と中村川を水上交通でつなぐ構想を持つNPO法人「濱橋(はまはし)会」に理事として参加。濱橋会の活動に行政も呼応し、大岡川に近年、二つの桟橋を整備した。「中村川にはまだ桟橋がない。二〇年までに整備し、観光の目玉にしたい」と語る。

 中村川沿いではかつて、千葉県富津市方面から船がやってきて朝市を開いたという。「富津との交流を復活させたい」。横浜港から本牧方面へ伸びる新山下運河も使い、本牧地区との連携を視野に入れる。

 マーケットテラスカフェ石川町は、水上交通が復活した際に重要な拠点になるという。「桟橋をカフェの前に造り、店を待合スペースにしたい」。あふれる夢に後押しされ、力強くこぎ出す。 (志村彰太)

◆私の履歴書

1972年 横浜市中区石川町で生まれる。小学校から大学まで関東学院で学ぶ

 95年 父の経営する手芸店「大島屋商店」に就職。石川商店街協同組合の青年部に入る

2004年 商店街協同組合の理事長に。商店街通りのバリアフリー化やイベント企画に取り組む

 12年 横浜の水上交通を復活させるNPO法人濱橋会に理事として参加

 15年 周辺の三つの商店街と「石川町活性化委員会」を組織

 17年 中村川沿いのコミュニティーカフェ「マーケットテラスカフェ石川町」の運営を任される。運営法人として「横浜まちクリエイティブ」を設立し、代表理事に就任