広島の原爆投下直後の実態を描いた映画「ひろしま」の上映と、惨禍を乗り越えた被爆ピアノを演奏する催しが十三日、松戸市民会館で開かれる。市民らでつくる実行委員会が、被爆した広島市民ら約八万八千人がエキストラ出演した映画と、被爆ピアノの音色を通じて、七十二年となる戦後の平和を見つめてもらおうと企画した。 (飯田克志)

 「ひろしま」(関川秀雄監督)は、広島で被爆した子どもたちの体験記「原爆の子」が原作。同市で全編ロケし、原爆による地獄絵のような惨状、被爆者たちの苦しみを克明に再現。終戦から八年後の一九五三年に公開された。だが、当時は「反米色が強い」などと大手配給会社がしぶり、ほとんど上映されなかった。

 監督補佐をしていた小林大平さんが亡くなった二〇〇八年、息子の一平さんが、忘れ去られていた映画を再上映。一〇年から本格的に上映活動を始めた。一五年に一平さんが急逝したことから、息子で映像プロデューサーの小林開さん(44)=東京都八王子市=が祖父と父、二人の遺志を継ぎ、上映活動を続けている。開さんは「出演した人たちは、あの時、広島に何が起きたかを知ってほしいと言っていた」と話す。

 被爆ピアノは、爆心地から一・五〜三キロの間で惨禍に遭った。広島市でピアノ工房を営む調律師矢川光則さん(65)が被爆者らから譲り受けた六台がある。

 環境問題の視点でピアノの再利用活動をしていた矢川さんは、両親が被爆していたが、原爆や平和運動にあまり関心を持っていなかった。一九九八年ごろ、「ピアノを役立てて」と頼まれたのが、爆心地から三キロで被爆したピアノだった。「平和ボケを目覚めさせられた」といい、二〇〇〇年ごろから、自らトラックで被爆ピアノを運び、演奏会を続けている。

 今回の演奏では、実行委メンバーが被爆ピアノの物語の朗読を交えて奏でる。

 石飛雄三委員長(72)は「戦争の悲惨さと平和の尊さを、映像と音色で多くの市民、特に若い人に体験してほしい」と話している。

 午前十一時と午後二時四十分からの二回は、映画上映の後、小林開さん、矢川さんのトーク、演奏がある。ピアノに触れられる機会も。午後六時二十分からは上映と小林さんのトーク。大人千円、高大生五百円。中学生以下無料。問い合わせは実行委=電047(362)3738=へ。