秩父地域の旅館やホテル十数カ所が一丸となり、ワインを氷で割って提供する「かち割りワイン」の販売に力を入れ始めた。かち割りは、ホルモン焼きや焼き鳥などの飲食店で発展した秩父ならではの味わい方。関係者らは、地元産のワインを利用することで、新たな町おこしにつなげたい考えだ。 (出来田敬司)

 今回提供されるかち割りワインは、「源作印」「GKT」「兎田ワイナリー」などの地元のブランドを使用。手軽に味わえるよう、小さめのグラスに注ぐ。種類は宿により赤、白、ロゼなどさまざま。価格も五百〜千円程度とまちまちだ。

 かち割りワインを始めるきっかけは、二〇一五年夏の酒席だった。秩父と東京都内の宿泊業の関係者が、秩父市内の焼き鳥店で会食した。都内の業者がメニューのかち割りに強い関心を示したことに、同席していた旅館「ゆの宿 和どう」(秩父市)の町田啓介社長が「これを生かせないか」と敏感に反応。「長生館」(長瀞町)とともに館内で売り出した。

 すると、長生館では一六年のワインの売上高が前年比八割増と大幅アップ。今年も昨年比の二割増で「ヒット商品になりつつある」(小埜和也常務)。和どうでも「一日五杯程度は出ており、アルコール類の売り上げの上位に食い込んでいる」とほくほく顔だ。

 秩父地域のほかの旅館やホテルなどに“共闘”を呼びかけたところ、今年は少なくとも十六カ所が参加している。

 町田社長によると、秩父のかち割りワインの由来は一説には、市内のホルモン焼き店で昭和初期、赤ワインに氷を落として飲む客が現れたのがきっかけだ。四方を山に囲まれた秩父は、独自の肉食文化が栄え、豚のホルモン焼きや焼き鳥などの飲食店が多数あった。氷を入れるとさっぱりして飲みやすいとの評判が広まった。十年ほど前からは「かち割り」の名称でメニューに定着したとされる。

 町田社長は「それぞれの旅館やホテルが説明書きやキャッチコピーを付けて、販促に乗り出している。観光客にも秩父の風土や文化を味わっていただけるのではないか。いずれはそば店などの飲食店にも協力を呼びかけたい」と意気込んでいる。

 問い合わせは長生館=電0494(66)1113=へ。