「親に殴られるので帰れない」「おなかがすいた。何も食べていない」。悩みを抱え、繁華街でさまよう少女たちのこうした声を聞き、保護する活動をしている。貧困、虐待、いじめなどさまざまな困難が絡み合い、援助交際や風俗勤め、自傷行為に追い込まれている。

 困窮世帯への現金支給や子ども食堂では救えない子が大勢いる。保護した少女たちの周りにいるのは、本来守ってくれるはずの親を含め、暴力を振るったり、自分たちを利用したりする大人ばかり。声を上げられないだけでなく、こうした大人が壁となって支援とつながることすらできない子もいる。

 生活保護を受けながら、子ども全員を学校に行かせていない親、収入もあって一見普通に見えるのに、子どもらしいことを一切させず、食事や日用品を十分与えない親。当たり前のように家族や社会とつながりがあり支えてもらえる人の視点では、分からない困難な状況がある。

 深刻なのは、こうした親の元で育ち、大人の年齢になってしまった子たちだ。十分な教育を受けていないので仕事に就けず、貧困が続くが、子どもを対象とした公的な支援や保護も受けられない。以前、親のネグレクトで十分な食事を与えられていない十七歳の少女から相談を受け、児童相談所につなごうとしたが、「もうすぐ十八歳ですよね」とやんわり拒否された。

 私たちのNPOでは支援の枠から漏れ、社会の統計からも外れてしまった子からのSOSを受け止め、保護して居場所を提供している。彼女たちの声、実態を伝え続けることで、問題を可視化し、社会を動かしていきたい。

<たちばな・じゅん> 46歳。千葉県生まれ。NPO法人「BONDプロジェクト」(渋谷区)代表。渋谷の繁華街の巡回や、電話、メールなどを介して、生きづらさを抱える10代、20代の女性たちの相談に乗り、自立支援を行っている。著書に「最下層女子校生」

◆性犯罪や援交を警戒 JKビジネス規制強化

 女子高校生の接客を売りにする「JKビジネス」は、秋葉原などで2010年ごろから急増した。家庭や学校に居場所がない少女らが足を踏み入れ、犯罪に巻き込まれる危険が大きい。

 客と食事や散歩をするサービスの一方で、「裏オプション」と呼ばれる性的サービスをさせられ、性犯罪に遭う恐れがある。警視庁が4月に摘発したケースでは、店長の男が、家出をして生活に困っていた少女を雇い、この少女に対して性的な行為をしていた。

 都内では7月、JKビジネスを規制する条例が施行され、18歳未満を雇うことを禁止した。営業は届け出制で、警察官の立ち入りもある。警視庁のまとめでは、今年5月末には都内に約110店あった店舗が施行直前の6月末には41店と半分以下に激減した。だが、警視庁幹部は「隠れて少女を雇う悪質業者や、インターネットを通じた援助交際も懸念される」と警戒する。 (神田要一)