戦争遺跡の保存や活用を呼び掛けている柏市の市民団体「柏歴史クラブ」は、第二次世界大戦末期に試作されたロケット戦闘機「秋水(しゅうすい)」の燃料貯蔵庫について調査報告書をまとめた。十二日には市内で関連の講演会を開き、身近な場所にある戦争の痕跡を、語り継いでいく。

 同クラブは、昨年十一月と今年五〜六月、秋水の燃料を備蓄するため、旧陸軍が同市花野井に造った貯蔵庫二基の内部を立ち入り調査した。貯蔵庫は花野井と、隣接する大室の二地区に八基設けられたとされるが、戦時中の姿をとどめているのは二基のみ。

 二基は、いずれもコンクリート製のトンネル型で、一基は現在は畑となっている場所の地下に埋設され、もう一基は地表に外観をさらしている。測量の結果、二基は本体部の長さが約四十三メートルとほぼ同じ。湾曲した形も似通っており、同じ規格を採用したとみられることなどが分かった。ロケット燃料に用いられた劇薬の過酸化水素を液体で保管するため、貯蔵庫は頑丈な設計となった。

 報告書は、立ち入り調査の結果を中心に、柏飛行場と秋水の関わり、開発の経緯や背景を記述した。秋水を操縦する訓練用グライダーの「秋草(あきぐさ)」、旧陸軍柏飛行場に勤務した兵士の肖像をはじめとする戦時中の写真を収録した。

 秋水は、米軍爆撃機B29の迎撃用に、急上昇、高速飛行の性能を併せ持つ機体として開発されたが、実戦配備されずに終わった「幻の戦闘機」。柏飛行場は秋水の基地に指定され、搭乗予定要員や訓練機などが駐留したという。

 クラブは十二日午後一時四十五分〜同四時五十分、「秋水燃料庫と柏」「建物のなかに空をつくる−住宅街に立つ高射砲連隊の訓練施設」の両講演会を、柏駅東口のアミュゼ柏で開く。参加費三百円。会場で報告書(A4判、五十二ページ)の購入予約を一部千円で受け付ける。 (堀場達)