江戸時代の盲目の国学者で、埼玉の3偉人に名を連ねる塙保己一(はなわほきいち)(1746〜1821年)の生涯を描いた、市民による群読劇「塙保己一物語」が11日夕、本庄市民文化会館で上演される。昨年11月、出生地の本庄市児玉町であった初演に続く2回目。本番を前に出演者らが連日、熱心な稽古に打ち込んでいる。11月には幸手市内での上演も決まり、障害がありながら「世のため、後のため」に生きた保己一に学ぼうとする共感の輪が広がりつつある。 (花井勝規)

 「ああ、そうだ。おいらは志を抱いて江戸にきたんだ。このまま死んだらバチが当たる」

 本庄市内の稽古場で、青年期の保己一を演じる矢野間規さん(39)の張りのある声が響く。江戸城の堀に身を投げ、自殺を図ろうとした保己一が学問で身を立てようと決心するヤマ場のシーンだ。

 これまで舞台とは無縁だった市民五十六人の出演者らの演技は、前進座の元俳優で演出家の志村智雄さんの厳しい指導を受けながら、日に日にレベルを上げつつある。

 矢野間さんはこだま青年会議所(JC)の前理事長。「以前、JCで保己一の企画をやったことがあり、関心があった。保己一が大きな功績を収めるに至った成長の過程を演技で表現したい」と語る。

 出演する児童十四人の一人、斉藤太一君(10)は「目が見えなくても人々のために一生懸命努力した保己一ってすごいと思った」と話していた。

 物語は、武蔵国児玉郡保木野村(現在の本庄市児玉町)の農家に生まれた保己一が七歳で失明し、十五歳で修業のため江戸へ出てから学問の道に励んだ生涯を描いた。保己一が約四十年をかけて編さんした「群書類従(ぐんしょるいじゅう)」は、六百六十六冊に古代から江戸初期までの歴史書や文学書など約千二百七十種を収録。後の研究の発展に大きな貢献をした。

 群読劇を企画した「塙保己一物語劇化実行委員会」(竹並万吉会長)は今後、上里、神川、美里の児玉郡三町での上演を検討中。十一月下旬には、同じ脚本を利用する形で幸手中央ロータリークラブ(中田盛夫会長)が幸手市民による群読劇の上演を計画している。中田会長は「県の偉人である保己一の認知度をもっと上げたい」と話している。

 群読劇は十一日午後六時開演。入場料は千円。問い合わせは実行委の竹並さん=電090(3108)6528=へ。