逆境でも諦めず、数々のドラマを生み出してきたミラクルチームの夏が終わった−。甲子園球場(兵庫県西宮市)で、九日に行われた第99回全国高校野球選手権大会の1回戦。31年ぶりに夏の甲子園に帰ってきた土浦日大は、出場36回を誇る古豪、松商学園(長野)と対戦し、3−12で敗れた。31年前の前回、2回戦に進んだ先輩たちを超える目標は果たせなかったが、県大会で発揮した粘り強さを終盤に見せ、大観衆を沸かせた。 (越田普之)

 試合前、マネジャーの菊池愛海(あいみ)さん(二年)は「みんなたくさん練習してきたから大丈夫。仲間を信じて頑張ってほしい」と願いを込めた。

 ところが、試合は序盤から松商学園ペース。初回、二回と足を絡めた攻撃から立て続けに失点。チームカラーの真っ赤なシャツで埋まった三塁側アルプススタンドから「いけるよ」などと大きな声援が飛んだ。

 三回は無失点でしのいだが、その後も松商学園の猛攻が続く。五回が終わって0−4。スタンド最上段で応援団旗を一人で掲げる重住優輝さん(三年)は「まだまだこれから」。三村航平主将(三年)の父、功一さん(50)も「県大会でこういう状況は何度もあった」と逆襲に期待した。

 0−6の六回裏、三村主将の犠飛で1点返すと、逆転続きだった県大会の再現とばかりに、スタンドは大盛り上がり。チームが43年前に甲子園初出場を果たした時の野球部員の一人で、OB会長の村下勇次さん(59)も「これをきっかけにしてほしいね」。

 しかし相手の勢いは止まらず、終盤も毎回失点。それでも勝利を信じる応援団は「日大ファイト」のコールで選手を後押しし、攻撃時には「土浦日大が大好きな七、八、九回だぞ」の声が飛んだ。

 その言葉通り、八回に関根一沙(いっさ)選手(三年)の二塁打などで2点を返したが、反撃もここまで。甲子園で奇跡の逆転劇は見せられなかったが、選手たちには惜しみない拍手が送られた。

 球場には、前回出場時の主将で、東芝野球部元監督の印出順彦(いんでのりひこ)さん(48)も姿を見せた。後輩たちは自分たちに続く2回戦進出を逃したが、「甲子園に出るという目標を達成したのだから、おめでとうと言いたい。ここが新たなスタートになる」と、健闘をねぎらった。

◆野球部OB神戸さん さらなる飛躍期待

 土浦日大野球部OBで、プロ野球千葉ロッテマリーンズの選手だった神戸拓光(たくみ)さん(32)は「全国レベルの投手を肌で感じることができ、大きい意味があったと思う。二年生が何人もいるチームなので、秋以降にもつながる」と語り、さらなる飛躍に期待を寄せた。

 神戸さんは現在、プロ野球の独立リーグ「ルートインBCリーグ」参入を目指す茨城アストロプラネッツのスタッフとして活動している。業務の都合で甲子園での応援はかなわず、ひたちなか市の事務所のテレビで観戦した。

 神戸さんは「自分も甲子園を目指していたが、出ることはできなかった。土浦日大のユニホームを着て、大舞台で戦えた後輩がうらやましい」と、OBたちの思いを代弁した。 (越田普之)

◆監督・主将談話

<土浦日大・小菅勲監督> 狙い球を見極め、最後まで諦めずに戦ったが、相手の速球やスライダーにやられた。打線も上手で、小技を絡めながら最後まで切れ目がなかった。甲子園で勝つため、出直して戻ってきたい。

<同・三村航平主将> 先制点を入れられた後に少し慌てて、守備がうまくいかなかった。相手打線はミート力と機動力があり対応が難しかった。あっという間の甲子園だったが、松商と戦えたことは一生の思い出。