甲子園での初戦突破に、あと一つのアウトが遠かった−。第99回全国高校野球選手権大会3日目の十日、木更津総合は日本航空石川(石川)と対戦し、5−6で惜しくも敗れた。芦名望捕手(三年)の2点本塁打などで終盤まで優位に試合を進めたが、エース左腕の山下輝(ひかる)投手(同)が九回表2死一、三塁から4連打を浴び、一挙4点を奪われた。「全国制覇」の夢は後輩たちに引き継がれた。

 初回、山下投手がいきなり相手打線につかまり、1点を先行された。木更津総合も二回に反撃、1番の山中稜真選手(二年)の2点二塁打で逆転に成功した。序盤を終え2−1という展開に、観戦していた木更津市の渡辺芳邦市長は「県大会と同じように力を出してくれたら」と期待を寄せた。

 四回に3番峯村貴希主将(三年)の適時打で1点を加えると、4番芦名捕手が左翼席へ2点本塁打をたたき込み、リードを広げる。得点したときに演奏される木更津市ゆかりの「証城寺の狸囃子」が何度もスタンドにこだまし、一気に押せ押せムードとなった。

 芦名選手の母、千恵さんによると、この日の朝に「やったるで」とメールで連絡が来たという。昨夏の甲子園ではベンチに入れなかったわが子が、主砲の仕事を果たして「夢のよう」と目を細めた。

 その後、山下投手は安定した投球でスコアボードに0を並べる。ところが八回無死から3連打で1点を奪われ5−2に。後続は併殺と三振で切り抜けたが、父親の直人さん(50)は「もういっぱいいっぱい。何とか最後までしのいでほしい」と祈るように語った。

 そして九回、走者を2人出しながらも2死となる。あと1人。「踏ん張れ山下!」と声が飛ぶが、ここから4連打で逆転を許し、チームカラーのオレンジに染まったスタンドは「あーっ」という悲鳴に包まれた。

 最終回の攻撃。2死一、三塁と攻め立て、逆転サヨナラへの期待が高まる。しかし願いは届かず、代打の東(あずま)智弥選手(二年)が三振に倒れてゲームセットとなった。

 跳びはねながらパーカッションを演奏するなど、熱のこもった応援を繰り広げてきた吹奏楽部の平田捷晋(はやと)さん(三年)は敗戦後、思わず楽器に突っ伏した。悔しさをにじませつつ、「甲子園で応援できてうれしかった。選手にはありがとうと言いたい」と声を絞り出した。 (越田普之)

◆監督・主将の談話

<木更津総合・五島卓道監督> 山下は立ち上がりから調子がおかしかった。中盤以降に立ち直ったと思ったが、相手打線のしぶとさに上回られた。最後は一塁へのカバーリングミスが敗因になった。打線は5点が精いっぱい。勝負への執着心が足りなかった。

<同・峯村貴希主将> 山下投手が打たれ、チーム全体に焦りがあった。後半につくったチャンスも生かせなかった。五島監督に甲子園通算10勝目をプレゼントしたかった。一、二年生は今回の経験を生かして、全国制覇の夢を成し遂げてほしい。