十日に告示された知事選は、いずれも無所属で、現役最多の七選を目指す現職橋本昌さん(71)と、元経済産業省職員で元IT企業役員の新人大井川和彦さん(53)=自民、公明推薦、市民団体が擁立したNPO法人理事長の鶴田真子美さん(52)=共産推薦=が立候補を届け出た。日本原子力発電東海第二原発(東海村)の再稼働の是非が争点に浮上した選挙戦。三人は、水戸市やつくば市で支持者を前に第一声を発し、公約や理念を訴えた。 (酒井健、鈴木学、山下葉月)

(届け出順)

◆橋本昌(はしもと・まさる)さん 71 無現<6>

知事・全国知事会副会長(元)消防庁課長・山梨県部長▽東大

<公約>(1)国体・障害者スポーツ大会、東京オリ・パラ等の成功(2)福祉・医療大県、教育大県の実現(3)地方創生の実現(4)災害に強い県土づくりの推進

◇「原発認めない」へ舵切る

 橋本さんは水戸市内のホテルで、五千百人(陣営発表)の支持者を集めて出陣式を開いた。

 高橋靖水戸市長が開会あいさつ。県医師連盟の小松満委員長、日本維新の会の石井章参院議員、県議会会派・自民県政クラブの江田隆記代表、五十嵐立青つくば市長らが応援演説した。

 県建設業協会の岡部英男会長は「県知事の選挙に中央が口を出しては困る。今の自民党は何を考えているのか分からない」と政権政党を批判。JA県中央会の佐野治会長は「多選批判はあるにせよ、実績と経験は他に例のない橋本知事。当選してもらわなければ、県の大きな損失になる」とエールを送った。

 橋本さんは「少子超高齢化社会に向け、高齢者が不便なく過ごせ、若い人が安心して子どもを産み育てられる仕組みをつくりたい」と抱負。東海第二の再稼働について「各地の『励ます会』などで、たくさんのお母さん方などから、ご意見をいただいた。原発は認めないという方向に舵(かじ)を切っていきたい」と述べた。

◆大井川和彦(おおいがわ・かずひこ)さん 53 無新=自公

(元)IT企業役員・経済産業省職員▽東大

<公約>新しい茨城創りのためグローバル社会で通用する人材の育成を目指すとともに、安心安全な暮らしを保障する社会資本の整備に努めます

◇経営感覚で新しい県政を

 「茨城は変わらなければいけない。これまでの延長でなく新しい発想で、人口減少や少子高齢化などに勇気を持って戦う、これが絶対に必要です」

 JR水戸駅南口に詰め掛けた支持者約三千人(陣営発表)を前に、大井川さんは笑顔で第一声を上げた。

 今後は県も、県民や企業と新しい創造が求められる競争の時代と指摘。リーダーには自身のような行政、民間の経験があって引き出しが多く、やる気と若さのある人間が必要と強調、「他の県と横並びではダメ。真っ先に挑戦し、民間の経営感覚を採り入れた新しい県の行政を私がつくります」と力を込めた。争点の東海第二の再稼働問題への言及はなかった。

 自民党県連の梶山弘志会長、公明党県本部の井手義弘代表ら推薦する両党関係者が並び「新しい茨城をつくるのか、停滞させるのか。そういう選挙」(額賀福志郎衆院議員)など一貫して県政の転換を訴えた。第一声を終えると「チェンジ茨城!」と書かれた選挙カーで街に繰り出した。

◆鶴田真子美(つるた・まこみ)さん 52 無新=共

NPO法人理事長・大学非常勤講師▽東京外大院

<公約>東海第二原発の再稼働ストップ。子育て支援、医療・介護体制の充実。給付型奨学金の創設。農業・中小企業への支援。情報公開と対話型県政

◇廃炉の実現へチャレンジ

 鶴田さんは、つくばエクスプレスつくば駅前で第一声を上げ、集まった六百五十人(陣営発表)を前に開口一番、「知事選にチャレンジする第一の目的は、東海第二の廃炉の実現」と訴えた。

 東京電力福島第一原発事故後、何度も被災地に入った経験を明らかにし、「あの惨状を忘れてはいけない。あらゆる命が失われた」と強調。茨城県南部や海岸沿い、北部地域で放射性物質が飛び、汚染されたとして、「住民は被ばくを強いられている。命と相いれない原発を再稼働させない」と力を込めた。

 「茨城県は財力がありながら、福祉、医療、教育に力を入れていない。ゼネコンや大企業が金を稼ぐ、中央を見つめる知事はいらない」と現県政を批判した。

 東海第二の廃炉を掲げる村上達也東海前村長も「再稼働させないことが、茨城を命輝く県にするための第一歩だ」と熱弁。鶴田さんを推薦する共産党の田村智子参議院議員ら六つの政党・政治団体の代表者も応援に駆け付けた。