第99回全国高校野球選手権大会4日目の十一日、横浜は秀岳館(熊本)と対戦し、4−6で敗れた。県大会で14本塁打を放った強力横浜打線は、秀岳館のエース左腕2人に抑えられ、福永奨主将(三年)の3点本塁打以外は3安打と沈黙。今春まで甲子園で3季連続4強入りの秀岳館に圧倒され、守備や走塁でも実力を発揮できなかったが、試合後のスタンドからは、ナインたちに大きな拍手とねぎらいの言葉が飛んだ。

 強豪校が対戦する好カードが集中したこの日、スタンドの大観衆が見守る中、秀岳館は一回表に二、三塁打を含む5安打で3点を先制した。横浜の応援席では、吹奏楽部に兄が所属する中学三年の増子莉緒さんも力いっぱいアルトサックスを吹いた。「まだまだこれから」

 三回にも追加点を奪われ4点差に。一方の横浜打線は大会屈指の相手左腕に苦戦を強いられたが、2巡目になった四回裏、山崎拳登選手(二年)がチーム初安打を放つ。父の博さん(47)は「一本出てホッとした。神奈川代表として平常心を保ち、つなぐ野球を徹底してくれ」とメガホンを鳴らした。

 横浜に好機が訪れたのは五回。無死一、三塁から福永主将の右犠飛で待望の得点が入ると、スタンドには得点時に演奏される応援歌の大合唱が響く。父の協さん(51)は「前半が終わったばかり。チームの合言葉にある『底力』を信じている」と、祈るように胸に手を当てた。

 直前に2点を奪われた七回は2死一、三塁の好機に、福永主将が左翼席に本塁打をたたき込んだ。スタンドから声援を送った野球部員の小倉拓也さん(三年)は「頼れる主将、もう一発お願い」と声を張り上げた。

 しかし、その後は安打が出ず、最後は主砲の増田珠(しゅう)選手(同)が左飛に倒れて試合終了。「あーっ」とため息が漏れたが、すぐに大きな拍手に変わった。学ラン姿で声をからした応援指導部長の正木翔さん(同)は「勝利はかなわなかったけれど、ここまで頑張ってくれてありがとう」と、涙を流しながらナインの健闘をたたえた。 (山口登史)

◆監督・主将の談話 

 横浜・平田徹監督 「経験不足、力不足が一番大事な場面で露見した。恥ずかしい」

 同・福永奨主将 「塩原はいいボールが来ていたが、少しでも甘い球が来たら打たれた」

 秀岳館・鍛治舎巧監督 「5点目が勝負だと思っていた。2人の投手がよく粘り、打線もよくつながった。頼もしい限り」

 同・広部就平主将 「ストライクが来たら振るように、監督から言われていた。(一回に3点を取り)いつもと違う形で試合に入れた」