圧勝に響く学生歌−。大会6日目の十三日、二松学舎大付(東東京)は明桜(秋田)と対戦し、14−2で快勝した。長打8本を含む19安打の猛攻とエースの市川睦(あつし)投手(三年)の好投で相手を寄せ付けなかった。3回戦は十七日、第2試合で三本松(香川)と対戦する。 (加藤豊大)

 二松学舎大付は二回、秋広(あきひろ)涼太選手(三年)の適時打で先制。父伸也(しんや)さん(47)は「いつも足の裏の皮がむけるほど素振りしている。成果を出してくれた」とうれしそう。さらに二本の長打でこの回、2点を加えた。

 以降も鳥羽晃平選手(同)の2点二塁打などで六回表までに5点を加え、着実にリードを広げる。得点する度、スタンドをチームカラーの緑色に染めた野球部員、保護者やOBらが肩を組み、同校の学生歌を響かせた。

 高校野球好きの母親の影響で「強くて好き」と、同校のファンになった都内在住の芳野(よしの)陸ちゃん(4つ)も加わった。都大会では、特注の小さなユニホームを着て全試合応援に駆けつけた。「このまま勝ってほしい」

 迎えた六回裏、ここまで無失点の市川投手が適時打で1点を返され、なおも1死二、三塁のピンチ。母久美さん(49)は「守備を信頼して落ち着いて」と手を合わせる。すると願いが通じ、ピッチャーゴロと外野フライに後続を抑えた。終わってみれば四回以降、毎回得点の圧勝。試合後、選手がスタンドに礼をすると保護者からは「ナイスゲーム」「よくやった」と大きな拍手が湧き起こった。

◆監督・主将談話 

<二松学舎大付・市原勝人監督> 初戦は硬くなりやすいが、よくやってくれた。市川は丁寧に粘り強く投げてくれた。

 同・松江京主将 みんなのびのび楽しんでやっていた。実力以上のものを出せた。

<ヒーロー>エース支えた「第2の監督」 二松学舎大付3年・佐藤巽選手

 三塁コーチとして何度も腕を回し、六回のピンチでは伝令としてマウンドに駆けつけて市川睦投手を励ました。チームの裏方に徹してきた背番号10は「市川の活躍はうれしい」。投げては8回を1失点に抑え、打っては長打3本を含む4安打というエースの活躍に、満面の笑みを浮かべた。

 幼稚園の時に甲子園を夢見て野球を始めた。市川投手とは中学時代の硬式野球チームの仲間。二人で二松学舎大付に進み、一年の夏からともにベンチ入り。

 転機は二年の時。市原勝人監督から副主将に指名されたが、遊撃手として結果が出せず、コーチ役を打診された。「皆への気配りでベンチ入りしよう」と受け入れた。プレーのほか、寮の掃除などにも目を配る。

 日大三に16−1でコールド負けした春季都大会の後。市川投手に「もっと強く。逃げ回っていたら、やられっぱなし」と厳しい声を掛け続けた。市川投手は「佐藤にずっと怒ってもらい、エースの自覚を持てた」と奮起。急成長を促した。

 市原監督は「佐藤はものをはっきり言うが、しこりを残さない」といい「第二の監督」と認める。

 二〇一四年夏の16強を超える8強が目標。初戦突破にも「最後まで集中しきれないところがあった」と厳しい。これからも選手に苦言を呈していくつもりだ。 (増井のぞみ)