JR京葉線新習志野駅(習志野市)南口から、シャトルバスで約十五分。船橋市の船橋港・京葉食品コンビナート南岸壁に到着すると、オレンジとアイボリーに彩られた巨大な船体が姿を見せた。

 南極観測船の初代「しらせ」。全長百三十四メートル、全幅二十八メートル、基準排水量一一、六〇〇トン。一九八二年の就役当時は海上自衛隊の所属で、南極への渡航は国内の観測船最多となる二十五回を数える。退役後、船名をローマ字の「SHIRASE」に変え、船橋港の埠頭(ふとう)に係留されていた。

 コンビナートのため一帯は一般の立ち入りが禁止されており、この旧「しらせ」の存在を知らない地元市民も多い。そこで、七月十七日の「海の日」に合わせた一般公開「チャレンジングSHIRASE」で記者が乗船した。

 「この船は、私の人生そのもの」。こう話したのは、訪れた人たちを案内するスタッフの一人、柳沼喜三(やぎぬまよしみ)さん(69)=神奈川県横須賀市。柳沼さんは、しらせの元乗務員。建造時からエンジンのメンテナンスなどを担い、南極へは、しらせの九回を含め計十一回赴いた。

 しらせは二〇〇八年に退役し、政府は解体処分にする方針を打ち出した。しかし、保存を求める声が高まり、名乗りを上げた気象情報会社ウェザーニューズ(千葉市)に引き渡される。その後、同社の関連である一般財団法人WNI気象文化創造センター(同)に移管されている。

 船内はほぼ就航時のまま保存されている。この日の「チャレンジングSHIRASE」では、各船室を利用して南極や気象情報などを学ぶさまざまな教室が開講され、南極関連の展示も行われた。現在は、気象情報を含めた環境問題を広く発信する船上基地となっている。

 元南極観測隊員で、気象などの観測ロケットの打ち上げに携わった芦田成生(しげお)さん(77)=船橋市=は「子どもたちにも、南極や環境保護の大切さをいっぱい知ってもらいたいね」と笑顔で話した。今年は、日本が南極で観測事業を始めて六十周年になる。 (保母哲)

◆19、20日に「新旧」公開

 この「SHIRASE」と現役の「しらせ」が十九、二十の両日、そろって一般公開される。公開時間は午前九時〜午後三時。新習志野駅南口と南船橋駅南口からシャトルバスが発着する。詳細はホームページ(「船橋市 しらせ 再会」で検索)で。