江戸時代の盲目の国学者塙保己一(はなわほきいち)の生涯を描いた市民による群読劇「塙保己一物語」が11日夕、本庄市民文化会館で上演された。コーラス隊を加えた総勢64人の熱演を見ようと、客席は立ち見を含め1300人超の観衆で埋まった。

 物語は、武蔵国児玉郡保木野村(現在の本庄市児玉町)の農家に生まれた保己一が7歳で失明し、15歳で江戸へ出てから学問の道に励んだ生涯を描いた。保己一が約40年をかけて編さんした「群書類従(ぐんしょるいじゅう)」は古代から江戸初期までの歴史書など約1270種を収録。後の研究の発展に大きな功績を残した。

 劇のラストシーンでは、米国のヘレン・ケラーが1937年に来日した際、「子どものころ、母親から『塙先生を手本にしなさい』と励まされて育った。塙保己一の名前は流れる水のように永遠に伝わるでしょう」とスピーチする様子を再現。障害がありながら「世のため、後のため」に人生をささげた郷土の偉人の生き方に、会場から盛んな拍手が送られた。

 群読劇の脚本を1年がかりで仕上げた会社員根岸久さん(69)は「出演者らの熱演のおかげで素晴らしい舞台になり、労苦が報われた」と話していた。

 11月下旬には、同じ脚本を利用する形で幸手中央ロータリークラブが幸手市民による群読劇を計画している。 (花井勝規)