ソメイヨシノなどのサクラやウメ、モモなどバラ科の樹木を食い荒らし枯死させる外来種の昆虫「クビアカツヤカミキリ」が、足利市など県南部や埼玉県行田市など関東北部の利根川流域で急速に生息域を拡大していることが分かった。繁殖力が強く、県などの行政関係者や専門家らが注意を呼びかけている。(北浜修、花井勝規)

 栃木県内では二〇一六年七月に足利市の渡良瀬川河川敷で初めて見つかった。今年六月には佐野、足利両市のモモ栽培園でモモ、スモモの樹木計百十三本で被害を確認した。

 樹木の幹に、幼虫が成虫になり外へ出るときにできる脱出孔や、樹木の周りに多量のフラス(幼虫のフンや木くず)の排出が認められた。被害が多いバラ科の樹木は農園や農地のほかに、公園や街路樹、民家の庭木など各所にもある。

 埼玉県行田市の行田ナチュラリストネットワークの橋本恭一代表は「クビアカツヤカミキリは五〜十匹でサクラの木を枯死させるといわれている。対策をしないと春のサクラの景色が一変する事態になりかねない」と訴える。

 一三年夏、同県草加市で国内二例目のクビアカツヤカミキリが見つかったのはサクラの名所・葛西用水だった。同県生態系保護協会草加・八潮支部が開いた自然観察会に参加した小学生が、黒く光沢のある昆虫を捕獲した。

 支部長の加納正行さん(82)は「早く手を打たないと、広範囲に拡散する恐れがある。調査した範囲は対策を講じ、被害の拡大は抑えられているが、未調査の樹木から新たに見つかる例が続いている」と危惧する。

 クビアカツヤカミキリの生態に詳しい日大森林動物学研究室研究員の桐山哲さん(31)は「群馬県館林市は関東で最も深刻な被害が広がっており、いつかは利根川を越えるのではと心配していたが、現実になってしまった。分布状況の調査と早めの駆除・防除が大切だ」と訴えている。

 栃木県は樹木被害が拡大するおそれがあるとして、ホームページで、クビアカツヤカミキリを見つけた場合は、県環境森林部の自然環境課や各市町などへ連絡するよう求めている。

 また、主に農家を対象に、成虫の活動期に防鳥用のネットなどを樹木に巻きつけることや、成虫をハンマーなどでつぶすことなど防除の方法も紹介している。

 県農政部経営技術課は「虫が動きだす春先に向けて、防除について農業者をはじめ県民の方々に呼びかけていきたい」と強調している。

<クビアカツヤカミキリ> 成虫は、体長が約2.5〜4センチで、全体が光沢のある黒色で胸部は赤色。樹皮の割れ目などに産卵し、幼虫は樹木の内部を侵食して2〜3年かけてさなぎになる。6月から8月にかけ成虫となって外に現れる。原産は中国、朝鮮半島、ベトナムなどで2012年に愛知県内で見つかって以降、栃木、埼玉、群馬、東京、大阪、徳島などで見つかり被害が拡大傾向にある。海外からの輸入木材やコンテナに紛れ込んだものが国内に入り込んだ可能性が指摘されている。