川崎市幸区古市場に拠点を置く京浜協同劇団が十七日から、同区のスペース京浜で、劇作家別役実(べつやくみのる)さんの「病気」を上演する。不条理な世界を描く作品で、演出を担当する同劇団の藤井康雄さん(74)は「長いものに巻かれるのは今の日本人の姿。忖度(そんたく)とか言って、自分の意に反したこともやらされ、やってしまう。その構造に迫りたい」と話している。 (山本哲正)

 作品は、「応急救護所」の前を通り掛かったサラリーマンが、看護師の服装をした女性から「あなた病気じゃありません?」と声を掛けられ、病気でもないのに注射されたり、ベッドに寝かされたり…。

 看護師から筋道の通らない言葉を投げ掛けられ、サラリーマンは戸惑いながらも受け入れていく。その姿を通じ、長いものに巻かれる生き方を問い掛ける。藤井さんは「自分もこんな(巻き込まれるタイプ)かもと(観客は)不愉快になるかもしれない。そんな舞台にしたい」と話す。

 劇団は一九五九年に誕生。年一、二回の本公演を軸に、外部との合同公演にも参加する。団員は約二十人。会社員、看護師など職業はさまざまで、定年退職した人たちも活動している。

 演目は多彩だが、近年はいじめや貧困、戦争などをテーマとして取り上げてきた。今回は、日本の不条理演劇を確立した劇作家で、警句集「当世悪魔の辞典」でも知られる別役さんの作品を同劇団として初めて取り上げた。現在、けいこに取り組んでおり、同劇団は「ハチャメチャな芝居。おかしな不条理劇の世界を楽しんでほしい」と来場を呼び掛けている。

 上演は十七〜十九日、二十三〜二十五日。各日一、二回で計十回。予約制で一般二千九百円など。

 スペース京浜は、幸区古市場二の一〇九。市バス「古市場交番前」下車、徒歩二分。最寄り駅のJR南武線鹿島田駅からは徒歩十五分。詳細とチケット申し込みは専用電話=電080(5988)8118=へ。