碓氷峠の急勾配を往来する列車の運行を支え「峠のシェルパ」とも呼ばれたEF63形電気機関車(愛称ロクサン)。二十年前に信越本線横川−軽井沢駅間が廃線となり、運行を終えた際に装着したとみられる記念のヘッドマークを、鉄道ファンが「ロクサンに返してあげよう」とお金を出し合って購入。ロクサンを安中市で保存する施設に寄贈した。 (樋口聡)

 贈られたのは、安中市松井田町横川の旧JR横川機関区跡などに整備された鉄道のテーマパーク「碓氷峠鉄道文化むら」。ロクサンを運転体験遊具として動態保存している。

 ロクサンは大量輸送に向け一九六三年に導入された。北陸(長野)新幹線開業の九七年まで、特急「あさま」などの最後尾に連結され、碓氷峠の急勾配でのシェルパ役を務めた。一九九七年九月三十日にその役目を終えた。

 ヘッドマークには「峠のシェルパ さようなら 碓氷峠」とある。文化むら担当者は「このヘッドマークの明確な記録はないが、運行終了記念に当時、使われたものだろう」とみている。

 このヘッドマークが、インターネットオークションに出品されていることを知った、茨城県つくばみらい市の井坂雄太さん(31)が鉄道ファン仲間と「文化むらのロクサンに返せたらいいね」と話し合ううち「募ってみよう」と、ロクサンばりの推進力で話が決まった。

 井坂さんが発起人となり、鉄道ファン三グループのメンバー有志ら十七人がお金を出し合い、井坂さんが十六万五千円(送料込み)で落札した。

 文化むらで開かれた贈呈式には、メンバー有志ら十二人が出席し、文化むらの上原有一理事長に手渡した。メンバーは「二十年たって、やっと帰るべき所に帰った。マーク(に書かれているのは)は『さよなら』だが今日は『お帰り』です」と話し、ヘッドマークを装着したロクサンを見て喜んでいた。上原理事長は「歴史の証人として永く保存したい。時には(装着して走らせ)元気な姿も見せたい」と感謝の言葉を述べた。