「戦術を考えるのが面白い。奥が深いですね」。パラリンピック正式種目ボッチャの選手、船橋市の蛯沢(えびさわ)文子さんが、十一月に開催された日本選手権・BC1クラスで初優勝した。戦術とともに、相手選手との駆け引きが勝敗の行方を決めるだけに、「頭脳戦のスポーツ」とも呼ばれ、蛯沢さんは「次の目標は、東京パラリンピックでのメダル獲得」と意気込んでいる。 (保母哲)

 ボッチャはヨーロッパ発祥のスポーツで、重度脳性まひか、同程度の四肢重度機能障害がある人のために考案された。カーリングに似た競技で、赤と青それぞれ六球ずつのボールを投げ、他のボールに当てたりしながら、ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールにいかに近づけるかを競う。

 蛯沢さんは八年前、知人がボッチャをプレーする姿を見て、「これなら、やれる」と感じた。「障害があるから、できるスポーツは限られる。でも、ボッチャなら、ボールを投げられない重度障害の人でもやれる」

 会社員であることから、午前中は仕事、午後はトレーニングの日々。練習時間は一日当たり五時間ほどで、土日曜も汗を流す。革製のボールは、重さ二百七十五グラム前後。このため筋力トレーニングが欠かせず、自宅でもゴムひもや軟らかいボールを使うなどして、筋力アップに努めている。

 大学生と高校生の子ども二人も、蛯沢さんを応援。大会に付き添うなどし、大学生の長男は、ボッチャの審判員の資格を取得した。

 第十九回日本ボッチャ選手権大会は十一月上旬、大阪市で開催。蛯沢さんは予選を2勝0敗で通過し、決勝トーナメント準決勝は7対2、決勝は5対1で制するなど、圧倒的な強さで初優勝を果たした。

 ボッチャは高齢者でも楽しめることから近年、幅広い人気が高まっている。蛯沢さんは「年齢や性別に関係なく、狭い場所でもプレーできる。その面白さを、多くの人に知っていただきたい」と話した。

 蛯沢さんは今月十一日、船橋市役所を訪れ、松戸徹市長に「日本一」を報告。松戸市長は健闘ぶりをたたえ、「市の障害者スポーツ振興のために、いろいろアドバイスしてほしい」と話した。

<ボッチャ> イタリア語で「ボール」を意味し、障害の程度によりBC1〜BC4の4クラスで競うスポーツ。男女の区別はなく、個人戦と団体戦がある。障害などでボールを投げることができなくても、クラスによっては、アシスタントのサポートを受けながら、勾配具(ランプ)を使って球を転がすことができる。