2017年の埼玉サッカーを振り返ると、最大のトピックは何と言っても浦和レッズがアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を制し、10年ぶりにアジアクラブ・チャンピオンに輝いたことだろう。日本のクラブとしても08年のガンバ大阪以来9年ぶりのことで、埼玉ばかりでなく、日本サッカーにとっても素晴らしい快挙だった。

 ただしそのレッズも、せっかくアジアチャンピオンとなって臨んだクラブワールドカップ(CWC)では、開催国枠で出場したアラブ首長国連邦(UAE)のアルジャジーラに初戦で敗れ、準決勝でのレアル・マドリード(スペイン)との対戦を実現できず、Jリーグでは優勝争いから大きく脱落した。

 ジェットコースターのような1年だった。J1で年間順位1位ながらチャンピオンシップで敗れた16年を受けて、17年は念願のリーグ制覇を目指してスタート。立ち上がりは順調で、5月の第11節では首位に立っていた。

 しかし、徐々に攻守の歯車がかみ合わなくなり、6月に3連敗、7月にも連敗を喫して順位も8位に後退。クラブはミハイロ・ペトロビッチ監督の解任を決断し、クラブ生え抜きの堀孝史コーチを昇格させて後を託した。

 堀監督は前体制に欠けていた守備の安定を図って立て直した。その効果が表れたのがACLで、難敵を破って優勝を果たしたものの、リーグでは順位を上げることができず、CWCでは押しながら1点が奪えずに敗れた。

 レッズのサポーターにとっては喜んだり、悲しんだり、怒ったりの繰り返し。とはいえ総括すれば、アジアチャンピオンという大きな喜びが得られた分、良いシーズンだったと言えよう。ただし、堀体制の真価が問われるのは来シーズンだ。今季は前監督の良いところを引き継ぎながら、足りなかった部分を修正して結果も一つ残したが、来季はより自分の色を出しつつ、さらにチーム力を高めていかなければならない。ディフェンディングチャンピオンであるにもかかわらずACLに出場できないだけに、18年はJリーグ優勝が最大の目標となる。

 一方、大宮アルディージャにとっては反省ばかりの1年となった。16年に渋谷洋樹監督の下、クラブ史上最高の5位という成績を挙げながら、主力選手の流出を防げず、さらにレベルを上げようとした指揮官の狙いに沿う十分な補強ができなかった。

 成績不振で監督交代に踏み切り、伊藤彰コーチを内部昇格させて、ボール保持を基本とする方向性の異なるサッカーを展開した。にもかかわらず、それに合わない外国人選手を補強して指針がブレた。残り3試合で石井正忠監督を招聘(しょうへい)するも1勝もできず、最後は最下位に沈んだ。

 問題はフロントのビジョンのなさだろう。伊藤監督を起用しサッカーのスタイルを変えたのはなぜか。育成年代で実績をあげた同監督にクラブの未来を託したのではなかったのか。一時しのぎの策を繰り返しても結局何も残らない。中期、長期にチームのあり方を見つめる必要がある。

 チームの指揮は来季も引き続き石井監督が執る。常勝・鹿島で鍛えたその手腕は買えるが、J1復帰が果たせたとしてもクラブの方向性が定まらなければ、また同じ轍(てつ)を踏むことになる。

 (サッカージャーナリスト)