人口10万人当たりの医師数が全国最下位の埼玉県に、好転の兆しが見え始めた。2014年から2年間の医師増加数が全国3位であることが判明。県は医大生への独自の奨学金制度や、研修医の受け入れ策が功を奏したとみている。 (井上峻輔)

 「医師や看護職員の確保が順調にいっている。県民に心配をかけているが、良い方向に向かっていると確認してほしい」。上田清司知事は二十四日の定例会見で胸をはった。

 厚生労働省の一六年末時点の調査によると、県内の医療施設で働く医師数は一万一千六百六十七人で全国九位。前回の調査があった一四年から六百九人増えていて、増加数と増加率はともに全国三位だった。

 県が大きな要因とするのは、一〇年度から始めた医学生への奨学金制度だ。六年間で最大約千五百万円を支給する。卒業後に県北や秩父など医師不足の地域で九年間勤務すれば、返還を免除する仕組み。八年間で二百十五人の学生が利用している。

 一三年には県と医師会などが「県総合医局機構」を設立し、医学部卒業後の研修先に県内の病院を選んでもらうための活動に取り組んできた。合同説明会や見学ツアーを企画するとともに、研修後の医師のキャリア形成にも力を入れた。その結果、一七年の初期研修医は〇三年の二倍に増え、増加数と増加率は、ともに全国一位となったという。

 ただ、人口十万人当たりの医師数が全国最下位である状況は変わらない。県は地域保健医療計画で二〇年末までの最下位脱却を目標に掲げている。四十六位の茨城県を抜くには、一六年末時点の数字で仮定しても千五百人ほどを上積みする必要がある。他県も医師確保に力を入れる中で、最下位脱却は「おそらく難しい」(県担当者)という状況だ。

 それでも上田知事は「数字のトリックがある」として、人口当たりの医師数にはこだわらない姿勢を示す。埼玉県は東京都など県外で医療行為を受ける人も多く、県単独での数字の評価が難しいと考えるためだ。

 今後は医師の地域偏在と診療科偏在の解消に力を入れていく方針で、医師数は「時間がたてばおのずから増えていく」としている。