前橋赤十字病院の新病院(前橋市朝倉町)が一日、開院した。これに伴い、同市朝日町の旧病院から新病院への引っ越しが同日朝から行われ、入院患者二百一人を日赤職員や消防関係者、県警、自衛隊員ら計約千六百人が協力して運んだ。搬送距離は三キロほどだが、重篤な患者もいて、無事に終了すると関係者から安堵(あんど)の声が上がった。新病院では四日から一般の外来を受け付ける。 (石井宏昌)

 同病院は病床数五百五十五床(旧病院五百九十二床)で県内では群馬大病院に次ぐ規模。前橋赤十字病院の広報担当者は「群大病院は移転したことはないので、今回は県内最大規模の移転作業」という。

 搬送する患者は事前に外泊できない人で人工心肺が必要な患者もおり、こうした医療機器を付けたまま搬送できる特殊車両を準備した。県内十一消防本部の救急車や自衛隊の車両、福祉車両など計三十三台で患者を運び、安全面を考慮して県警の白バイやパトカー計十三台が誘導した。作業には看護学校の学生ボランティアも協力した。

 午前八時半すぎに患者搬送が始まると、旧病院の正面玄関や救急棟入り口前に車が並び、患者をストレッチャー(車輪付き簡易ベッド)で救急車に乗せたり、車いすのお年寄りを福祉車両に乗せたりして新病院間を何度も往復。同日午後三時半ごろに無事終了した。

 中野実院長は報道陣に「多くの人の援助で患者を安全に搬送できた」と話し、旧病院の地元住民に「百五年という長い期間、大変お世話になった。さまざまな機能を果たすため移転ということになったが、これからもよろしくお願いしたい」と感謝の思いを込めた。新病院開院には「救急医療とがん治療に力を入れ、ハード、ソフト面とも充実したので、期待される役割をしっかりと果たしたい」と抱負を語った。

 一方、長年親しんでいた病院の移転に旧病院の近隣住民の思いは複雑。近くで商店を営む女性(83)は「残念だけど仕方ないね」と顔を曇らせる。「近くに病院がなくなるので心配。近所の人はみんな心配している。跡地には、診療所でいいので医療機関を誘致してほしい」と漏らした。

 跡地について前橋市は医療介護や居住施設を集めた「前橋版CCRC(生涯活躍のまち)」拠点整備事業を大手住宅メーカーと進め、二〇二一年度の供用開始を目指す。