相模原市内唯一の百貨店、伊勢丹相模原店(南区)が来年九月で閉店する。慢性的な赤字を受け、親会社の三越伊勢丹ホールディングスが採算性の低い店舗を見直す一環で決めた。小田急相模大野駅周辺のにぎわいに欠かせない存在だっただけに、利用者や商店街関係者からは惜しむ声が上がっている。 (曽田晋太郎)

 「食品の質は良く、家から近くて重宝していた。なくなるのは困る」。買い物を終えた近所の主婦(86)は口惜しげに話した。同店が営業を始める前から周辺で暮らしているといい、「地域に百貨店ができるのがうれしかった。お中元やお歳暮を贈る時に老舗の安心感があった」と振り返った。

 店内には市が民間団体に委託して運営する子育て支援施設も入り、親同士の交流や相談に応じる場になっている。小学生と幼稚園児の子ども三人を持つ岡野輝美さん(33)は「育児相談ができ、子どもと遊べる施設が近くにあって助かっていた。お母さん友達と店内でランチをした思い出もあり、なじみの深い場所。閉店はショックです」と肩を落とした。

 同店は、米軍医療センター跡地に一九九〇年九月に開店。近接する相模女子大グリーンホール(市文化会館)や図書館と共に商業、文化の核として地域の発展を支えてきた。加山俊夫市長は「市が本格的なまちづくりを始めた最初の地域で、長年にぎわいづくりに貢献してもらった」と話す。

 九三年には生活雑貨などを扱う店が入る建物を増設し、九六年度の売上高は三百七十七億円に上った。その後は地域内での競合激化などにより売り上げは低迷。赤字が恒常化し、昨年度の売上高は百九十五億円にまで落ち込んだ。

 近隣の四商店街でつくる相模大野駅周辺商店会連合会の中田克己会長(57)は「閉店で街から人が減ってしまえば、周辺商店にも影響が及ぶ」と不安を口にする。閉店後の店舗の利用法は未定だが、「幅広い客層が訪れる商業施設の立地を検討してほしい」と望む。

 親会社に「市民生活やまちづくりに影響がないよう配慮してほしい」と要望したという加山市長は、「地域と合意形成を図りながら魅力あるまちづくりを進める」と述べた。