高校生が制作した原発問題を考えるドキュメンタリー映画「日本一大きなやかんの話」が、21日から中野区の「ポレポレ東中野」で始まる福島映像祭で上映される。国内外の原子力研究者のインタビューや福島県内のルポなどで構成されている。 (小形佳奈)

 制作したのは東京学芸大学付属国際中等教育学校五年の矢座孟之進(やざたけのしん)さん(17)。同級生二人と、米国の学者、東京電力の原発立地地域担当者、原発事故の影響を受けた福島の人々、首都圏で自然エネルギーを推進する団体などを訪ねてインタビューを重ね、四十八分の作品にまとめた。

 タイトルは推進派と反対派双方が使っていた「やかん」という言葉から名付けた。矢座さんは「推進派は原発が単純な仕組みと説明するため、反対派はお湯を沸かすのに大きなリスクを冒すのはなぜかという意味で使っていた。同じ単語が違う印象を与える。原発を巡るあつれきを象徴していると感じた」と話す。

 原発稼働の「賛否」に分かれて議論した社会科の授業がきっかけだった。賛成派がデータを基に主張したのに対し、反対派は感情論を中心に訴えた。「議論が全くかみ合わず、気持ちの悪さが残った」。矢座さんはその後、原発問題に関心を持ち続け、映画を完成させた。

 今年で七年目となる映像祭を主催する「OurPlanet−TV」の高木祥衣(さちえ)さん(38)は「原発事故から八年半が過ぎ、被災者の声が社会に届きにくくなる中で、高校生がエネルギー問題に関心を持ち、取材したことが素晴らしい。テンポのよさも、動画に慣れ親しんでいる現代っ子らしい」と評する。

 二十七日まで、矢座さんの作品を含め七作品が上映される。福島県双葉町の元町長、井戸川克隆さんらによるトークもある。日程や作品の詳細は「ふくしまのこえ」のホームページで。