昔から、異性に気持ちを伝える手段として、“手紙”が多く使われていた。

その中には、相手を想う、数々の言葉がつづられている。

時は、2017年の東京。

日々行き交うLINEに対して、現代の男女は何を想うのか。

元彼女であるさくらから、突然「元気?会いたい」とLINEが来て、心が揺さぶられた男、ゆう。

その真相や、いかに。



A1:幸せな妻が元彼に連絡をするのは、自分の中で“女”を再認識したいとき


女友達・ミサと『ザ・カフェ by アマン』でお茶をしていた時、突然話題にのぼったのが、3年ほど前に付き合っていた彼・ゆう君だった。

「さくら、最近ゆう君と連絡取ってる?」
「私が結婚して以来、一回も取ってないよ。」
「そうなんだぁ。実はこの前偶然、街で見かけたんだけど、会社辞めて独立したらしく、さらにカッコよくなってたよ。」

ゆう君とは3年間付き合って、別れた。

原因は、向こうに結婚願望がなかったから。当時私は29歳で、どうしても結婚したかった。

—29歳で3年間付き合っていれば、結婚は当たり前。

そんな女子の常識を打ち破られるかのごとく、ゆう君は仕事に夢中で、結婚なんてまるで眼中になし。

そんなゆう君にしびれを切らして、私は見切りをつけた。そして“結婚できそうな”今の旦那と結婚した。

優しいし、ある程度余裕のある暮らしができるほどの稼ぎもある。

旦那に表立った不満はない。だけど、元々大恋愛で結婚したわけでもない。そして結婚して3年も経てば、トキメキなんて皆無だ。

女として、恋愛に全てを捧げていた時代がふと懐かしくなり、気がつけば、ゆう君にLINEを送っていた。


女が元彼に突然連絡をするのは、自分に自信が欲しいとき?

男女で違う、以前交際していた人への思い


女性にとって、元彼とは不思議な存在である。

時として、昔自分を愛してくれた人の存在は、自分の自信に繋がる。その上、元彼が素敵な人であればあるほど、自分の地位も上がる気がする。

「ゆう君は、さくらのこと本当に大好きだったよね...まだ独身みたいだし、忘れられないのかな?」

美沙の言葉の一語一句が、私の心にすっと染み込んでいく。

「そんなことないでしょー。もう3年も経ってるんだよ。」

紅茶を飲みながら、口角が上がっていくのを感じた。口では否定してみるものの、まんざらでもない自分がいる。

「男性は、一度好きになった女性のこと忘れられないって言うしね。女性はすぐ次に進むけど。」

『ザ・カフェ by アマン』の夏のテラス席で、新緑の木々の間から吹き抜ける心地よい風に、すっぽりと体が包みこまれるのを感じた。



「でも分からないよ。返信がこないかもしれないし。」

降り注ぐ太陽を見上げながらそう言ってみたものの、ゆう君からの返信は想像以上に早く来た。



A2:「今も自分は女として大丈夫」と確認したい


久しぶりに来たLINEは相変わらず絵文字も何もなくて、思わず笑ってしまった。でも表面上はそっけないけれど、実は愛情深くて優しいことを、私は知っている。

返信が来るということは、拒絶されているわけでもなさそうだ。懐かしくて、そのままLINEを続けた。



結婚して3年。元彼という存在は、トキメキを忘れかけている自分に最適な相手だった。

今からまた新たな出会いを探し求めるのは億劫だ。何より、今の生活を壊したいなんて気持ちは毛頭ない。

その点、以前燃え上がった相手である“元彼”は気心も知れてる上、気軽に会える。そこで何か行動を起こすわけではなく、ただ自分を女として見て欲しいだけ。

大好きだと言ってくれていた人に会うことで、女としての自信が復活する気がした。



しかし、会いたいと送ったきり、ゆう君からの返信が途絶えてしまった。このままでは、自分の中で自信に繋がるどころか、逆効果だ。

だからもう一度だけ、送ってみた。



返信を見て、思わず胸が高鳴る。

久しぶりの、デート。
何を着て行こうかしら。


元彼と再会。女がそこで望む、意外なこととは?

会えれば、満足。そこから何も求めていない


ゆう君が指定してきたお店『然(sabi)』は、ゆう君らしいセレクトだった。ちょっと艶やかさもありつつ、でも囲炉裏があって落ち着く店内。

魚介のブイヤベースを囲炉裏で食べられたり、出てくる料理もしっかり楽しめた。



「相変わらず、ゆう君は素敵なお店をたくさん知ってるのね。」

「そうかな?久しぶりに会うし、店選び結構緊張したんだけど。」

眩しそうに私を見つめる視線が、昔から変わっていない。その変わらぬ眼差しを見て、私の心はまた、満たされていく。

「さくらも、変わったような、変わってないような。でも相変わらずいい女だね。」

海外育ちのゆう君は、昔からストレートな褒め言葉を投げかけてくれる。

最近、夫からは中々言ってもらえない言葉の数々。今の私には、そのくすぐったいほどの真っ直ぐな言葉が嬉しかった。

そして、そんな言葉を欲していたことに気がつく。


—ねぇ、私まだ女として魅力的かな?


聞きたかった一言は、永遠に聞けなかった。でも、それで良かった。

ゆう君に会い、丁寧に扱われ、女としてまだ大丈夫だと確認したかっただけなのかもしれない。



これが、本音だった。

私が昔付き合っていた人は、今も素敵で、私のことを特別な目で見てくれる。

その眼差しを感じ、そして存在を認められた気がしただけで、十分だった。



結局、そこから連絡はしていない。

でもきっとまた、何か愛情を確認したくなったときや、自信を失いかけたときに私はまた、ゆう君に連絡するだろう。

「ありがとう、ゆう君。」

そっと携帯を胸にあて、静かに微笑んだ。


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