たった1通のLINE。

その巧拙が恋愛の勝敗を決めかねないが、恋愛マニュアル情報は巷に数多くあれど、LINEの正解を教えてくれるコンテンツはほぼ見当たらない。

男女でLINEに対する捉え方は、全く異なるようだ。

あなたが送るそのLINE、気づかぬうちに間違えていないだろうか。



夏美との出会いは、仕事だった。

広告代理店に勤める僕はSNS周りの仕事をしており、流行りの“インフルエンサー”事業に携わっている。

クライアントから「インスタグラマーを用意しろ」と要求があり、その時に呼んだうちの一人に、夏美がいた。

透き通るような肌に、ぱっちり二重。タレントとしても通用しそうなその外見に、仕事と言えども気になって仕方がなかったことは言うまでもないだろう。

「拓巳さん、今日はありがとうございました。また何かあれば、是非お願いします♡」

仕事後に挨拶に来た夏美が、ごく当たり前のことかのようにLINEのIDを聞いてきた。

次に何かあった時に仕事がほしいだけだとは思うが、LINEを交換できたことに少し心が躍る。

そしてその日の夕方に来たLINEを見て、さらに僕のテンションは上がった。



—いつでも、連絡下さい?!

純粋に仕事だけの関係だったら、そんな文面送らないだろう。“仕事があれば、いつでも連絡下さい“となるはずだ。

社交辞令だとしても、これは嬉しい。思い切って、食事に誘ってみよう。

しかし最初から一人で誘うのも憚られる。向こうの気持ちもわからないし、誰か誘った方が良いのではないだろうか。

そう思い、次の文面を送った。


その誘い方、正解ですか?男性がよく送るLINE、それでいいの?

Q1:至って普通の文面。それなのに急に彼女のレスが遅くなった理由は?


中々順調に物事は進んでいる。何が功を奏したのか分からないけれど、夏美が食事に乗り気なことは見て取れる。



店のことを聞くついでに、誘おうと考えていた元同期・健太のことも伝えておこう。



健太は元同期だが、数年前に会社を辞めて今や大社長だ。広告デザインの事業を成功させ、メディアにも度々登場している。

甘いマスクに高身長。しかもその年収となれば、一緒に飲んで嫌がる女性はいない。

自分一人では戦力不足かもしれないが、健太と二人ならば無敵だ。きっと夏美も、夏美の友達も喜んでくれるだろう。

そう思いながら送ったLINEをしばらく眺める。しかし二通とも既読にはすぐなったのに、返信がこない。

さっきまでスムーズに続いていたのが嘘のように、夏美からの返信が一気にペースダウンした。

—何か、間違った文面を送ってしまったのだろうか...

夏美から返信が返ってきたのは、二日後だった。



なんだ、スケジュールを確認していただけか。ほっと胸を撫で下ろし、張り切って店探しを始めた。




持つべきものは自慢できるような男友達


夏の1日は長いようで短い。夏美たちと約束をした金曜は、あっという間にやってきた。

連日うだるような暑さが続いているが、待ち合わせ当日も例外なく暑く、朝から体が火照っていた。

「待ち合わせの前に、一杯飲んでから行かないか」、と夕方頃健太から誘いが入り、六本木ヒルズ1階に入るバー『タスク』で一杯ビールをひっかけることになった。



「今日来る子、結構お気に入りで。可愛いんだよ。」

乾いた喉にビールがすっと染み込んでいく。

昔から、真夏にビールを飲むたびに、空っぽな体に生命力がみなぎっていくのを感じるのは僕だけなのだろうか。

「拓巳がそんなこと言うの、珍しいね。よっぽどお気に入りの子なんだ?分かったよ、今日俺はアシスト役に回るから。」

男から見てもイケメンの部類に入る健太は、今日も無駄に爽やかだ。この暑苦しい外気の中、健太だけ涼しい顔をしている。

しかし健太は体育会系で妙に律儀なところがあり、友達の女には絶対手を出さない。連絡先すら交換しないことを、付き合いの長い俺は知っていた。

「健太サンキュ。お前はやっぱりいい男だな。」

「やめろよ、気持ち悪いな。」

グラスに残ったビールの泡を飲み干し、食事の店へと向かった。


男女2対2から個別に誘いたい。けど進めない原因はなに?

Q2:タイプだと言ってくれたのに、二人で会えないのはなぜ?


今宵は、西麻布交差点からほど近い『葡呑』を予約した。



古民家の引き戸を開けると広がる、日本家屋の趣を残したままの店内。こじんまりとした小さな店だが、酒もツマミも旨く、いつ来ても満席の店だ。

「西麻布に、こんなお店があったんだね!素敵だなぁ〜」

店内に入った瞬間からテンションが上がる夏美を見て、店選びは正解だったと確信する。

夏美が連れてきた友達の春香も同じく綺麗な子で、僕ら二人は美女に囲まれてご機嫌だった。

「夏美ちゃんは夏生まれで、春香ちゃんは春生まれでしょ?」

きっと何百回も聞かれているんだろうなぁと思いつつ、定番の名前絡みの質問から会を始める。

「こいつ、健太。会社の元同期なんだけど、優秀だからすぐに辞めちゃって。今は中目黒に事務所を構えて、デザイン関連の仕事してるんだよ。」

そう言いながら、過去に健太がデザインしたロゴやパッケージを携帯で見せる。

その度に、女子二人は“知ってる!”“見たことある”など黄色い歓声をあげていた。

「拓巳さんは、クリエイティブ系の仕事もされるんですか?」

夏美が笑顔で聞いてくる。僕は営業だ。

「いや、僕はただの営業だよ。健太みたいに、5,000万も稼げないよ〜(笑)」

冗談で言ったつもりだったが、夏美も春香も予想外に良い子だった。

「年収とか関係ないですよ!自分の仕事に情熱を持っていれば最高です。」

なんて、嬉しいことを言ってくれた。そして夏美がお手洗いに立った隙に、春香が耳打ちしてくれた一言で、僕はさらに顔がほころんだ。

「夏美、拓巳さんのこと結構タイプみたいですよ。頑張って下さいね。」



夜もすっかり更け、会も盛り上がった頃合いで解散となった。健太が春香を送っていくと言うので、僕は自然な形で夏美を送る。

「結構タイプらしい」という春香の一言がずっと胸の中にこだましていた。これは千載一遇のチャンスなのだろうか。

「夏美ちゃん、またご飯行かない?…俺の周り、結構いい奴が多いんだけど、みんな独身で。」

本当は二人で行かないかと聞きたかったが、まだ二回目だ。言い訳のように男友達を付け加える。

「もちろん。でも拓巳さんの誘い方って、面白いですよね。」

面白い?面白いことを言った記憶はないが、夏美が上機嫌だったのでそれでよしとしよう。

夏美はにこやかにタクシーを降りて行った。



その後、何度かお互いの友達を誘って食事には行った。

しかし“タイプだった”はずの僕なのに、永遠に夏美と二人で食事に行く機会は巡ってこない。

—何が“面白い”誘い方だったのだろうか...

最初の一歩で、何かにつまずいたことだけは明らかだった。


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LINEの答えあわせ【A】:こんな男は嫌だ。誘い方の正しいルールとは?

<これまでのLINEの答えあわせ【Q】>
vol.1 盛り上がったはずが。よくある「突然の既読スルー」という地獄
vol.2 つい送りたくなる“俺通信”。マメに連絡する男がモテるのか?
vol.3 気になる子を誘いたい。「今から飲まない?」が嫌われる理由
vol.4 ナゼ気づかない?女性へ「元気?」と送る男の大きなミス
vol.5 「今日はありがとうございました♡」デート後すぐ来たお礼LINE。これ、脈アリ?
vol.6 好きな女性に嫌われたくない。スタンプで「察して」ほしい男心
vol.7 「仕事が忙しくて予定が分からない」を鵜呑みにする女
vol.8 食事後「楽しかった!またご飯行こう」で態度急変したのはなぜ?
vol.9 返信は律義な彼が、デートに誘ってくれないのはなぜ?
vol.10 エリート男が仕事帰りに送りがちなNGワード。身に覚えある?
vol.11 「元気?」突然きた元カノからの連絡。これって何のサイン?