昔から、異性に気持ちを伝える手段として、“手紙”が多く使われていた。

その中には、相手を想う、数々の言葉がつづられている。

時は、2017年の東京。

日々行き交うLINEに対して、現代の男女は何を想うのか。

タイプだと言われ、2対2で食事をしたのに、個別でご飯に行けない拓巳。

その真相や、いかに。



拓巳さんと知り合ったのは、Instagram絡みの仕事だった。

大手広告代理店勤務で、遊んでいそうな人かと思いきや、腰が低くて真面目。そんなギャップに惹かれ、仕事が終わった後すかさず歩み寄った。

「拓巳さん、今日はありがとうございました。また何かあれば、是非お願いします♡」

“また何かあれば”、にはもちろん仕事の意味も含まれている(代理店の人に媚を売って、損することはない)。

でも、それだけじゃなかった。純粋に、仕事の枠を越えて仲良くなりたいと思ったから。

すんなりLINE交換を終え、帰り道ですぐにLINEを送った。



—なんて返ってくるかな...

LINEは、その男の人の本質が丸裸になる。

モテる人は余裕がある返信だし、下心丸出しの人は(本人は必死に隠しているつもりでも)返信のタイミングや文面から女性には筒抜け。

代理店勤務の29歳。脂がのっていて、勢いがある年齢だ。どんな返信がくるのか楽しみにしていると、至ってシンプルで、且つ女性から見て合格をあげたくなる返信が返ってきた。



控え目ながらもきちんと誘う。いいじゃない、と心の中で頷く。しかし次の文面で、拓巳の評価はAプラスからFマイナスへと急変した。


私ってそんな風に見える?女が興醒めする一文とは?

A1:友だちの年収を送ってくるなんて、嫌。年収で男を判断する女に見えますか?


しばらく、拓巳さんとのLINEは何の滞りもなく続いていた。



よくある、ありふれた男女のLINEのやり取り。適度に遊びなれていて、適度に真面目。良い塩梅だ。

しかし次に送られてきた一文で、私の笑顔は固まった。



—...は?


拓巳さんからすると、私は男性を年収で判断するような女に見えたのだろうか?

男性を見るときに、職業や年収で篩にかけないと言えば嘘になる。ある程度の生活力と経済力は必要だ。

でも、年収3,000万ないと嫌など言わないし、年収が高いからその人のことを好きになる、ということは断じてない。

何とも説明しがたい、嫌な気分が私を覆う。

食事に誘おうと思っていた友人の春香に、そのままストレートにLINEを送った。(女はスクショで情報共有する)。



面倒だから断ろうと思っていたが、春香がここまで言うなら仕方ない。食事会を決行するしかなさそうだ。

しかし乗り気ではない気持ちはLINEの返信スピードに、素直に反映されてしまう。

結局、数日後に拓巳に返信を送った。



たまに友人のスペックを事細かく説明する男性がいるが、そこまで話す必要はない。

—拓巳さんのこと、気になっていたのに残念だな...

でも、LINEの誘い方が下手なだけで、会えば違うかもしれない。そんな可能性の低い、淡い期待を抱きながら、拓巳さんが予約してくれた『葡呑』へ向かった。


女は欲張りな生き物。周囲に良い人がいると目移りする

A2:人の話ではなく、自分の話で勝負してほしい


西麻布交差点から徒歩数分のところにある『葡呑』は、古民家を改装した作りが面白く、日本家屋の温もりに包まれている店だった。



決して華美ではないが愛情のこもった一品一品は、どこか心が温まるような味がする。ワインとの相性も抜群だ。西麻布に、こんなお店があるなんて知らなかった。

「さすが拓巳さん、いいお店知ってますね。」

褒めると、少し照れくさそうに下を向いて拓巳さんが笑う。既に男性陣二人は一杯飲んできたらしく、二人とも上機嫌だった。

「こいつ、健太。」

拓巳さんが連れてきた健太さんはたしかに端正な顔立ちをしており、背が高く爽やか。そして経営者。

「あれは、モテるね。」

春香が小声でささやく。“うんうん”と大きく頷くものの、健太さんには心が動かない自分がいる。

モテる男性のみが放つことのできる、独特のオーラ。自分のことが大好きでないと手に入れられぬその気迫が、実は苦手なのだ。

どちらかと言うと拓巳さんのような、人の心を優しく包んでくれる柔らかい雰囲気を醸し出す人の方が好きだった。

「夏美です、春香です。」

二人セットだと必ず言われる、生まれた季節の話が済み、男性陣の番になる。しかしここでも、拓巳さんは人のことから話し始めた。

「健太は会社の元同期なんだけど、優秀だからすぐに辞めちゃって。今は中目黒に事務所を構えて、デザイン関連の仕事してるんだよ。」

そしておもむろに携帯を取り出し、健太さんがデザインしたというロゴやパッケージを見せ始めた。

—LINEで感じた違和感は、やはり拭えない。

人が良すぎるのか自分に自信がないのか分からないが、人の話ばかりする男性は好きではない。

自分自身に楽しいネタがあり、確固たる自信がある人は一緒にいて面白い。

「拓巳さんは、クリエイティブ系の仕事もされるんですか?」

健太の話はわかったから、拓巳さんの話が聞きたい。そう思って質問を振ったのに、返ってきた答えはまたこんな感じ。

「いや、僕はただの営業だよ。健太みたいに、5,000万も稼げないよ〜(笑)」

無駄な自信はいらないが、謙虚すぎるのもどうなのだろうか。「自分を愛せないと人を愛せない」、と何かの本で読んだことを思い出す。

拓巳さんが友達思いなのは十分わかったし、優しいこともわかった。でも、人のことばかり話していて、楽しいのだろうか?

そして年収のことを口に出しすぎるのも気になった。人の年収なんて、どうでも良い。それくらいの器でいて欲しいのに。

結局、聞きたかった拓巳さんの話はあまり聞けず、「俺の周り、結構いい奴が多いんだけど、みんな独身で。」という言葉だけが印象に残った。



自分で勝負せずに、“知り合い自慢”で勝負してくる人はお断り。

そして今日の食事会の話の流れを汲むと、拓巳の周囲には良い男性がたくさんいる。

お店に関してもそうだが、良い店ばかりに連れて行ってくれる人は、完全に“レストラン要員”となる。


—拓巳さんみたいな人は“紹介者要員”になることを、きっと彼は気がついていないんだろうなぁ...


いつの間にかターゲットは拓巳さんではなく、拓巳さんの周囲にいるであろう“素敵な人”に移っていた。

▶NEXT:7月29日土曜更新予定
LINEの答えあわせ【Q】:彼から返信が返ってこない時。その真相は?

<これまでのLINEの答えあわせ【A】>
vol.1 デート後「今日は楽しかったです!」の一文に潜む、女の嘘。
vol.2 日記かよ?!一方的に “俺通信”を送る男が結婚できないワケ
vol.3 女性の「また誘って下さい♡」の真意、勘違いする男たち
vol.4 あなた、誰だっけ。「元気?」と送ってくる仲良し勘違い男
vol.5 デート後のお礼LINE。すぐ送るのは、翌日持ち越したくないだけ
vol.6 会話をスタンプで済ませないで!スタンプ乱発男に冷めた瞬間
vol.7 「忙しくて予定分からない」は、決定打に欠く女への常套句
vol.8 これってコピペ?男性からのLINE、スクショで情報共有する女たち
vol.9 先輩に紹介された女性からのLINE、既読スルーにはできません!
vol.10 仕事後の彼に「お疲れさま♡」とLINEを送る女の本音
vol.11 いい女って言われたい。トキメキを忘れた女の悪戯