東京の女性たちは勘違いをしているかもしれない。

結婚できれば、それでハッピーエンドだと。

だが、生活を共にし始めてからが本番だ。結婚した後は、夫婦生活を継続するための「結婚維持活動」が必要である。

ー人間は判断力の欠如によって結婚し、 忍耐力の欠如によって離婚し、 記憶力の欠如によって再婚する。

フランスの劇作家、アルマン・サラクルーの言葉のように、「結婚維持」のキーワードは果たして、忍耐なのか?

この連載では、東京で「結婚維持活動」に勤しむリアルな夫婦の姿をお届けしよう。

今週は、一見完璧に見える夫を持つ、専業主婦・雅子の結婚維持活動に迫る。



<今週の結婚維持活動に励む妻>
名前:雅子
年齢:30歳
職業:専業主婦
結婚生活:5年


可愛い子供、可愛い私、優しい夫。


はじめまして。津田雅子と申します。

いえいえそんな、私なんて全然綺麗じゃないですよ。もう、30歳ですし。

着ているものが、若すぎるだけなのかも。でも嬉しいです。

このヴァレンティノのバッグですか?

ええ、夫からプレゼントしてもらいました。

珍しい青が可愛くて、持てる季節を選んじゃうかな、とも思ったんですが店舗で一目惚れしてしまって…。

はい、子供は1人です。男の子。

可愛いですよ〜、男の子って。本当に素直なんです。

毎日、「ママ可愛い」って褒めてくれますし、私には絶対嘘をつけないところがまた可愛くて。

内緒でお菓子を食べてしまったりしても、女の子なんかは知らんぷりするそうなんですが、うちの息子は絶対に黙っていられない。口の周りに、チョコとかつけたままにしちゃうんです。

なんで、男ってあんなにバレバレの嘘つくんでしょうねぇ…。


「ピクチャーパーフェクト」な家庭の真実

優しい夫の、ただ一つの欠点。


うちの夫を一言で言うと…「自信家」、かな。

でも、自信を持つのもわかる気がします。彼、仕事はもちろん、なんでも出来てしまうので…。

料理だって自分から進んでソツなくこなしてくれて、そんな時はむしろ私より凝ったものを作れちゃう。

出来上がった料理を上手に写真に撮ったりもしていて…。器用なんですよね。センスもあるし。

それだけじゃなく、息子の面倒も嫌がらずによく見てくれるんです。

息子もそんなパパが大好きで、2人だけで遊びに行ったりしてくれますから、本当にありがたいと思っています。

私はその間ママ友とランチに行ったり、ショッピングをしたりと小さな子供を育てているとは思えないほど自由な時間を楽しませて貰っています。

ええ、凄く良い夫だと思いますよ。



ただ…彼、少し脇が甘いところがあるんですよ。

お料理も完璧に見えて、付け合わせのお野菜切ってあるのを乗せ忘れるとか、せっかく作った一品を冷蔵庫に入れっぱなしとか、レンジからお皿を出すのを忘れちゃうとか。

公園に息子と行ってくれるのはいいんですが、お砂場セットを置いてきちゃったり、帽子を失くしてきたり…。

なんていうか、最後の詰めが甘いんですよね笑。

本人は気がついていないんですけど、まぁそんなのは大した問題ではないので特に指摘はしません。

ただ、彼、どうして?ってくらいバレバレの嘘もつくんです。

つい先週だったかしら。「上司と部下と飲みに行く」といって、午前2時過ぎまで連絡がなく帰宅しなかったことがあるんですよ。

で、帰ってきた時の様子が少しいつもと違うような感じがして、「今日どこ行ったの?」と聞くと「普通の居酒屋」と答えたのですが、違ったんです。

私、こっそりシャワー中にお財布をチェックしたんですが、なんかイタリアンレストランのレシートが出てきて、グラスでシャンパンを頼んだ記録が残っている上に、そこに「2名」とか普通に書いてある。

それで、「あれ、これは嘘をついているな」と分かってしまうんです。

普通、上司と部下とグラスでシャンパンなんて飲まないし、3人で飲むって言ってたのに、レシートに2名って書いてあるし…。

なんでこういうレシート捨てないんだろう、って思っちゃいません?

こういうの見せられると、何だか知らなくていいものを知ってしまった、という感じがして本当にモヤモヤするんです。

彼、一応隠そうとするけど、証拠隠滅の詰めが甘すぎることが多いんですよ…。まるで、うちの息子みたい。
ただ、詰めの甘さを指摘した時の息子の反応は可愛いんですが、夫の反応はそうはいかなくて…。


驚くべき夫の反応とは

あの手この手で追及を避ける夫


一時期、夫の帰りが異様に遅くなったり、車の助手席のシートの位置が変わっていたり、「?」という行動が増えていた時期があったんです。

それで何となく指摘してみたら、「え、なんのこと?」という感じでしらばっくれて否定して、そのあとはムスッとした表情でだんまり。なんか聞こえないフリみたいにするんです。

それでも納得がいかないので問い詰めていたら、何も言わずに急にバタン、っとドアを閉めて家から出て行ってしまって…。

その時は、2日間くらい家に帰ってこなかったですね。

黙っている時も無言のプレッシャーと威圧感で、怖くて…。逆らえないオーラを出してくる、というか。

で、家に帰ってくる時には機嫌が良くなってるんです。

私に凄く優しくなって、仕事帰りにお花を買ってきてくれたり、色々なところに連れてってくる。

この間は家族でランチに、『インターセクト バイ レクサス トーキョー』に行きました。



そして、その後お誕生日でも何でもないのに、エストネーションで可愛い日傘やバッグを買ってくれたんです。

そうなると、もう、色々突っ込める雰囲気じゃなくなるじゃないですか。

なんというか、彼、こちらが怒ったり切れたりする前に逃げて、有無を言わせないようにする傾向があって…。

実は私は凄く嫉妬深い性格なので、浮気はおろか本当は女性関係の影があることすら許せない。私だけを見て欲しい。よそ見するなんて、我慢できないんですよ。

だけど私は25歳で結婚して、大学卒業した後は家事手伝いをしてそのまま結婚したので、息子もいますし、今更離婚なんてオプションはありません。

でも、彼、絶対そういうところ分かってると思うんです。分かってて、濁してる。私の不満と、正面から向き合おうとしない。

だから、私も彼と正面から向き合うのをやめました。

彼が守りたいものは、世間体。成功してるのにイクメンな俺、小綺麗にしてる妻、可愛い息子。

だからね、たまにそれをぶち壊してやりたくなるんです。

ここに今までの浮気の証拠の写真などがあるんですけど、全部データにしてあって…。これ、全部彼の会社に送ってしまおうかな、と思ってまとめてメールボックスに保存してあるんですよ。

もちろん、本当に送ったりはしません。

でも、私の心の叫びを見て見ぬ振りしてのうのうと生きている夫への、私なりの切り札なんです。

「幸せ」か、って?

自分でも、よくわからなくなる時もあります。でも私、家族で写真を撮る時はいつもとびっきりの笑顔で写るようにしてるんです。

せめて外から見た自分達家族が、幸せに見えていればいいかな、って思って…。

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雅子の夫、ユウジの結婚維持活動に迫る。


【これまでの結婚維持活動夫妻たち】
Vol.1:婚活よりも大変な、結婚生活の“維持”。その秘訣とは?
Vol.2:子供を持ちたい夫 vs 持ちたくない妻。結婚維持活動の妥結点とは?
Vol.3:余裕がある分、悩み多き専業主婦。私の存在価値を作るのは、夫ではない
Vol.4:「母親みたいな女性」と結婚したつもりの、夫の誤算と苦悩
vol.5:「住所を変えたくない」支配型の姑との窮屈な同居に耐え続ける、妻の本音
vol.6:「女に本音を言う必要ない」がポリシーの、狡猾な夫の策略
vol.7:「夫は家電のようなもの」と割り切る妻。2017年、仮面夫婦はこう進化した!
vol.8 :ある日を境に妻を愛せなくなった夫が語る、勝手な理論