生まれた時から勝ち組。

そう言われる一方で、「親の七光り」「二代目は会社を潰す」と揶揄されることもある二世たち。

親の潤沢な資金を受け継ぎ、悠々自適に暮らしているようにも見える彼ら。

そんな彼らの、知られざる生態を暴いていこう。

初回は、二世という身分を隠しながら嫁を探す幸一郎を紹介した。今回は?



<今週の二世くん>

名前:航平
年齢:28歳
職業:大手銀行勤務
年収:約600万
居住地:乃木坂
親の職業:電気通信系会社経営


親の年収格差は、子供の年収格差


—慶應幼稚舎出身


航平のことを事前に聞いていたので、勝手に典型的な慶應ボーイを想像していた。しかし、待ち合わせ場所に現れた航平は腰が低く、物腰の柔らかい男性だった。

「幼稚舎から慶應です。今でも、同級生や先輩の皆と仲良いですよ。」

そう話す航平だが、話を聞いているうちに、目には見えぬ、大人になった今だからこそ浮き彫りになる“慶應内格差”が見えてきた。



スラリとした長身に爽やかな笑顔。姉が二人いる影響からか、女性に対して非常に優しい航平。彼が、モテない訳はなかった。

中・高時代には近隣私立女子高の中でも一番可愛いと評判の彼女がおり、遊んでいる仲間は常に幼稚舎出身組。

慶應の中でも航平のグループは目立っていた。

高校時代から皆親のクレジットカードで遊び放題。一応アルバイトはしていたが、時間潰しのためであり、決して生活のためではなかったそうだ。

「お金に困った記憶は、ありません。」

そう豪語する航平が異変に気がつき始めたのは、大学に入った時、言うならば就職活動の時だった。

以前から遊んでいたグループの仲間たちは、一向に就職活動を始める気配がない。むしろ、その時期に皆でハワイ旅行に行く計画などを立てていた。


「航平も行かない?と誘われた時に気がつきました。僕の親には、そこまで力がないことに。」


親のカードの色で感じる劣等感。二世ならではのコミュニティー

ゴールドカードが最低ライン。ブラック、プラチナが当たり前


航平の親は、電気通信系の会社を営んでおり、航平の幼少期はかなり裕福な生活を送っていた。

実家にはお手伝いさんがおり、姉二人も幼稚園から有名私立女子校に籍を置き、そのまま大学まで進学。

姉二人も航平も、ある程度の幸せな暮らしは手に入れていた。

しかし航平が20歳になる頃、父親の会社の実態を徐々に理解し始める。従業員は30名弱、都内と名古屋、大阪に支店があり、業績は悪くない。


しかし、“中小企業”の社長でしかないのである。


一緒に遊んでいた仲間たちの親は、上場企業の社長や創始者一家など、錚々たる親を持つ者ばかり。

「親の資産、ランクの差を、大人になれば否が応でも向き合わなければいけない時がきます。あの時の愕然とした気持ちと言ったら、もう...」

そして大人になるにつれ、カードの色が持つ意味も痛感する。

「親のカードを勝手に使っている友達は、皆ブラックカード、プラチナカードが当たり前。僕だけゴールドカードを所有しており、恥ずかしくて出せなかった。」



同じ二世でも開いていく格差


周りが苦労もせず就職していく中、自力で大手銀行の内定を掴んだ航平。しかし、社会人になった今、格差はさらに開く一方である。

慶應幼稚舎と言えば6年間ずっと同じクラス、同じ担任が一貫してクラスを受け持つことで有名だが、その分仲間意識も強く、卒業後も頻繁に交流がある。

東京の中心部で遊んでいる人ならば、慶應幼稚舎組と誰か一人でも繋がれば、芋づる式に知り合いが増えていくことを体感済みであろう。航平の周囲にも同じことが言える。

食事会も未だに皆と参加し、週末にもなれば何となく同じメンバーで集う。

そんな狭い世界で生きているのは強い絆があると言える一方で、悲しい現実にも直面する。

「年齢が上がるにつれ、職業や親の財産で差は開いていく。親の会社に入った友達は同じ年でもう役員に名を連ねていたり、将来親の会社を継ぐために勉強を兼ねて海外へ留学したり。気がつけば、僕だけ普通の人生を歩んでいる気がして。」

乗っている車も、つけている時計も同級生たちは次々とアップデートしていく中、航平だけは追いついていない。


同じ二世でも、親の企業規模の大きさが格差に繋がる

昔は一緒のクラスだったのに...埋まらぬ格差


そして未だに実家暮らしも多いという幼稚舎チーム。白金、広尾、青山界隈の実家、及び親が所有するマンションに住んでいる人も多い中、航平の実家は祐天寺。

しかしその実家も、親はそろそろ手放し、長野へ引っ越す予定だそうだ。

昔から夏になると始まる“親の別荘巡り”も、毎回参加するだけで主催者にはなれない。

「毎年、友人の親が所有する軽井沢の別荘や葉山の別宅へ行くんですよ。そこへ行くにも、気がつけば皆車を持っている中、僕だけ持っていなくて。」

友人の親が所有する葉山の別荘で、これまた彼らが所有しているクルーザーや、ジェットスキーで遊んだりするそうだ。

勿論、友人たちは何も言わないし、咎めることもなく未だに仲が良い。しかし航平の中で、卑屈にはならずにいられない時がある。

「親の会社がもっと大きければ、もっと名の通った企業だったならばと何度思ったことか。」



「なるべく、苦労は知らずに生きていきたい」


はたから見れば、航平は非常に恵まれた身分である。しかし二世は二世同士で固まりやすいという習性のため、航平はつい自分ではなく、親の会社を比較してしまう。

しかしよく話を聞いてみると、そこで奮起し、友人たちより良い生活をしたいのか?と言うと、そういう訳ではないそうだ。

「今の会社にいても、将来稼げる額も限度も見えています。でも、今から起業して頑張れるのかと言われたら答えはNOですね。」

ずっと親に守られて生きてきた。

社会人になってから、自ら傷つくような、棘の道は選ばない。

なぜなら、傷つくことへの免疫がないから。そして、苦労したことがないため、圧倒的にハングリー精神に欠けているのだ。


「まぁ、それなりに幸せなんで、とりあえず今のままでいいです。」


格差を感じながらも、その格差を埋めようとしないところが、何とも二世くんらしく、そして成功する二世くんと、成功しない二世くんの差を感じずにはいられなかった。


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縁故組ですが何か?親の力で受験の苦労など知らぬ二世くんの実態