生まれては消えていく、東京のレストラン。はたして勝ち残るのは一体どんな店なのか?ここでは年間1300軒超のレストランを取材する『東京カレンダー』が、これぞ! と感じた一軒を厳選。

今回は、この焼肉ブームを象徴する“お洒落焼肉”という焼肉新時代を築いた『うしごろ』の最高峰店舗をご紹介。

各部屋に専属の焼き師を配した全室完全個室スタイルで、高級フランス料理のコースのように、プロが焼いた肉を次々と皿に乗せてくれる。

焼肉のレベルをひとつ上げた優雅なスタイルを是非堪能してもらいたい。



個室のみ、それも5部屋だけ。最高の肉を、最高の瞬間に食す至福
『うしごろエス』

煙とにおいにまみれつつ、ジョッキ片手にカルビやロースにかぶりつく。ひと昔前まで、焼肉といえばそんな脂ギッシュな男の料理をイメージしたものだ。それが今ではどうだろう。

内装もスタイリッシュなら、扱う肉もA5ランクの黒毛和牛を一頭買い、牛肉を産地別で食べ比べさせたり、タルタルやすき焼きなど牛肉料理と焼肉を組み合わせたり、クオリティの高い牛肉を楽しめる高級焼肉店が増えている。

今や焼肉店は、従来の枠を超え、高級ステーキ店と肩を並べるハイグレードな〝肉レストラン〞へと変貌を遂げつつあるようだ。そう、ここでまた、ひとつの新たな局面を焼肉業界は迎えようとしている――。



6月30日にオープンしたここ『USHIGORO S』も、まさに前述のような焼肉新時代の先陣を切る一軒だ。

オーナー曰く「接待や記念日のレストランとして選択肢のひとつになる焼肉店を、との思いからこの店が生まれた」そうで、ダークトーンでシックにまとめられた店内は、贅沢にも五つの完全個室のみ。

各部屋にひとりずつ熟練の焼き師が付き、肉の部位に応じて丁寧かつ的確に焼き上げてくれるサービスも画期的だ。



しかも、その牛肉は牧場指定。焼肉通にはつとに知られた川岸牧場と田村牧場の但馬牛のみを扱うというこだわりぶり。この但馬牛、実は〝世界の神戸ビーフ〞を始め、松阪牛や近江牛等々ブランド牛の素牛。

豊かな環境の中、ストレスを与えることなく育てられた牛の肉は、どちらも、サシの旨さに頼らぬ肉本来の旨みが秀逸だ。特に、川岸牧場の牛は、サシの入り方が健康的。

赤身のコクがしっかりと伝わる深みのある味わいが特徴。一方、田村牧場のそれは、豊潤な旨みの広がりが魅力。和牛ならではの醍醐味を満喫できる。



ちなみにコースは赤身と霜降りの2種類。それぞれ、生肉盛り合わせに始まり、極上の牛タンや焼きしゃぶ、すき焼きと『うしごろ』名物の料理が目白押しだが、特筆すべきは終盤に登場するステーキ。

300gのヒレ(またはサーロイン)を約40分、炭火とオーブンを駆使してじっくりと焼き上げられる。この肉塊を、切り分けるパフォーマンスも楽しみ。真紅の断面が現れた瞬間、歓声が上がること請け合いだ。

しっとりと舌になじむシルクの舌触り、口中に溢れる肉汁に思わず頬が緩む。豊潤でいて食後感は軽い。これも焼肉新時代のあるべき姿だ。


田村牧場のヒレを使った「牛ヒレかつ」。レア加減も見事。口にすれば、ふわっと軽やかな軟らかさに陶然となる。トリュフ塩で。


「究極の黒タン」と「厳選赤身の焼きしゃぶ」。厚みのある牛タンは上下の食感の違いを楽しませる。焼きしゃぶの部位はイチボかシンシン。


丁寧に牛骨の出汁を取って作られる〆のラーメン。見た目以上にしっかりとした味わい。


予約は4人からで全員同じコースをオーダー。ワインをはじめ世界の銘酒もそろう。