「演劇が好きで仕方がないのに、人前では堂々と言えなかった」
中山まりあ


どんな美女にもコンプレックスはあり、人も羨むようなイケメンにも触れられたくない心の闇がある。

舞台女優の道を歩みはじめた中山まりあさんは、夢に向かって突き進む真っ直ぐで力強い女性に見える。けれどもかつては、誰にも打ち明けられない悶々とした想いを抱えていたという。

では、そんな悩みをどのように克服して現在に辿りついたのか。その生い立ちを振り返っていただこう。



「自分で言うのもおかしいですが、箱入り娘だったと思います。出身は奈良で、中学から大学を卒業するまで京都の私立に通いました。小学生の頃は目立ちたがりで、人前に出ることが好きでした。その一方で、まわりの人からどう思われているんだろうというのが気になって仕方がないタイプ。矛盾する2つの自分がいたんです」

親戚の前で歌ったり踊ったりしたことがきっかけで、小学4年生より地域のミュージカル劇団に通うようになる。



「セリフもないような子役でしたが、プロの方と一緒に演じるのが子供心にとても楽しくて、舞台が好きになったんです。だから中学、高校の6年間はずっと演劇部。中学3年の時には部長も務めました。ただ、演劇をやっていると、オタクっぽく見られるんじゃないかと、堂々と言えなかったです。美容院で『部活なにしてるの?』と聞かれてもごまかしたり……」

自分の好きなことをやっているのに、胸を張って言えない。ほかの人から見れば小さなことのように思われるかもしれない。けれども、生まれてから一度も演劇が嫌いになったことがない。まりあさんにとっては、それが大きな問題だったのだ。



謙虚であることや空気を読むことが、必ずしも美徳ではないことを知った


高校時代は演劇部と並行してミュージカルの劇団に所属し、大学では劇団に所属するようになった。そして大学2年生の時に留学したカナダのエドモンドで、本人いわく「悟りを開いた」。

「8カ月ぐらいの留学期間で、日本とは違うリアクションに勇気づけられたんです。人と違う夢を追っていると言っても、カナダだとみんなが『がんばれ、君ならできる』と応援してくれます。一方で、良くないと思ったことがあると面と向かって指摘してくれる。若かろうが女性だろうが、意見をしっかり言える人がすごく輝いているんです。それがとてつもなく大きなカルチャーショックでした」


その後、帰国するとカナダ留学と同じくらい大きな影響を受けた存在と出会う!


日本に戻り、大学3年生、4年生で就職を意識するようになっても、カナダでの体験がまりあさんを後押しした。

「両親は普通に就職することを望みましたが、自分はお芝居をやろう、と決めました。本気でやるなら、出会える人も規模も違う、東京に出てみたいと思ったんです。そこで1年4か月前に東京に出て来ました」

東京に出て来ると、カナダ留学と同じくらい大きな影響を受けた存在と出会う。ミス・グランド・ジャパンというミス・コンテストだ。

「ミス・グランド・ジャパンは、普通のミスコンと全然違うんです。堂々と自分の意見を言うことが求められ、女性として、人としてどういう品格を持っているのかが問われるコンテスト。私は2016年のファイナルに選ばれましたが、どうしてここに私が立っているのか、何を周りに伝えられるのかをすごく考えさせられました。強くなって前に出て意見を言うこと、昔の私みたいに思っていることができない女性にメッセージを伝えること、それこそが私の役割だと感じたんです」



ミスコンと舞台女優、このふたつを経験したのが私の個性


舞台女優として、悩みながらも必死に成長しようとするまりあさんの目に、東京という街はどのように映るのだろうか?

「東京に来る前は、新宿と渋谷は同じって思ってたんです(笑)。でも全然違ったし、初めて新宿に行った時には地下街で迷って、一生ここから出られないかと思いました(苦笑)。でも、少し慣れた今は、刺激や出会いにあふれた東京が好きになりました」

では、関西の友人が東京に遊びに来るとしたら、どこを案内しますか?

「吉祥寺です。都会なんだけど、少し歩くと公園があって、京都みたいな横丁もあります。反対に東京の友人と関西へ遊びに行くなら、浴衣を着て清水寺に行きたいですね」



東京で経験を積むなかで、まりあさんはご自身の演劇のスタンスが少し変わってきたことを感じるという。

「昔に遡ると、私を観に来てほしいという感じでした。でもいまは、私ではなく役者が作った世界を観に来てほしいと思います」

ただし、芝居を観るという行為が、それほど身近ではないことも痛感している。

「ミスコンで美を追究した人が舞台にも上がることは珍しいとよく言われます。でも、そこが私の個性なので、いままでの芝居ファンとは違う観客を呼べるようになれたらいいと思っています。お芝居は、その場で一度だけ体感できるライブ感が命。ぜひ、その魅力を知ってほしいです」

演劇をやっていることが恥ずかしくて人に言えなかった少女が、留学とミスコンを経験して堂々と主張できるようになった。成長した姿を、ぜひ一度舞台で観たいと強く思った。



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