日々、騙し騙されかけひきをくり返す、東京の男と女。

彼らの恋愛ゲームには、終わりなど見えない。

第1回は、互いに人の心を掌握する術に長けている、営業マンの女と男の物語。

彼らのかけひきは、どちらに軍配が上がるのだろうか…?



追わせたら、勝ち。男を翻弄する女の綿密すぎる戦略


こんにちは。奈々美(27)です。丸の内にある大手損害保険会社で、総合職で営業をしています。

最近、ある男性とお付き合いを始めました。

彼と出会ったのは、1ヵ月前のお食事会。翔君という男性です。同じ保険営業、同じ年齢ということで、話が盛り上がって。爽やかで、憎めない感じのする小動物系の顔も好みでした。

お食事会の後すぐ、彼からデートに誘われました。

ここからが、女の腕の見せどころ。いかに“追わせる”側になるか。

東京という、したたかな女達がひしめき合う恋愛戦場では、無駄にしている時間などありません。狙った男性には、3回のデートで告白させるように誘導します。


「ふり幅」で男心を手玉に取れ


「好意がある行動」と「素っ気ない行動」を繰り返すと、3回目のデートには、男性から勝手に告白してくれるんです。

1回目は、仕事帰りに『アルカナ東京』に行きました。

ここは、彼に「好意がある」と思わせるターン。彼を見つめて話をよく聞き、よく笑う。「俺と過ごす時間を楽しんでるな」と思わせます。


「好き」と言わせる、女の狡猾な誘導テクとは?

次のデートは「シンデレラモード」で印象付けろ


2回目は、土曜日の夜に目黒の『鮨 りんだ』へ。

前回盛り上がったし、彼は期待して来ますよね。そこで前とは違うキャラで、揺さぶりをかけます。

例えば、我儘っぽい態度を取るとか。「これ、食べたい」と言って、彼の分もさっと取ってしまう。

男性って、こういう風に振り回されるのが好きだから。彼も、嬉しそうに「好きなの食べていいよ」って私に譲ってくれました。

男の人は、尽くされた女より、自分が尽くした女に価値を感じる。自明の理です。

そしてこの日は、シンデレラのように、24時前に帰ります。「素っ気ない」ターンです。

すると彼は、勝手に想像を巡らせます。「楽しかったのは俺だけ?」「もう少し一緒にいたかった」など…。

こうやって、帰ったあとの余韻を残して、自分を印象付けるんです。


1回目のキスは、あえて避けよ


そして迎える、3回目のデート。彼は六本木の『ル スプートニク』を予約してくれました。

選ぶ街に一貫性がないあたり、頑張ってお店探しをした若者であることが伺いしれますよね。

お互いのお気に入りのワイン話に花が咲き、酔いも深まってきた頃。彼がおもむろに提案してきました。

「俺の家に、とっておきのワインがあるんだ。一杯だけ飲んでみる?」

家に行ったらそれでだけでは済まないだろうと思いましたが、ワインに詳しい彼が「とっておき」とまで言うなら飲んでみたい。そんな気持ちを盾にして、承諾しました。

翔君の家は、麻布十番駅から徒歩5分のところにありました。

ソファに座って2人でワインを飲みながら(深い渋みがとても美味でした)、たわいもない話をして…26時くらいでしょうか。彼がそっと、横にくっついてきて。

そのまま、キスされそうになりました。

一旦、すっとキスを避けて、それから悪戯っぽく微笑みかけました。私、クロージングまでは翻弄する手を緩めません。

すると彼は不安そうな様子で、「…いや?」と聞いてきました。



相手から「好き」と言わせる誘導ワードで、とどめを刺せ


そこで私はにっこりと笑いながら、決定的な言葉をささやきます。

「遊びなら、いやだな」

私のこと好き?と下手に出て聞くことなく、男性から気持ちを言わせる、誘導の言葉です。

彼、驚いたように言いました。「好きじゃないと、こんなことしないよ」って。

「好き」と言わせたのだから、陥落したも同然。私は満ち足りた気持ちで、彼に身をゆだねました。

翌朝、家を出るとすぐに、次はいつ会える?と彼から連絡が来ました。完全に、追わせている私の勝ちです。

「付き合おう」とは言われてませんが、もう大人ですから、そんな野暮なこと言いませんよね?


翔から見た、恋愛ゲームの裏側


こんにちは。翔(27)です。

赤坂の外資系保険会社で、営業をしています。

奈々美ちゃんは魅力的です。ほっそりと引き締まった脚、自信に満ちた強気な瞳。我儘で、甘え上手な性格。

こういう気位の高そうな女性を陥落させるほど楽しいことは、そうそうありません。

とはいえ、ここ東京は、猛者のハンター達がしのぎを削りあう恋愛戦場。レッド・オーシャンで戦う僕達には、時間はいくらあっても足りません。

僕は狙いを定めたら、3回目のデートでクロージングすると決めています。


優しくて謙虚そうな男の、したたかな本音とは?


あえて下手に出て、相手をのらせろ


デートは僕から誘い、都合も相手に合わせる。こちらが追う方が、プライドの高い女性は乗り気になりますからね。

レストランは、最初はカジュアル、次に和食、最後はフレンチという若い女性が好みそうな鉄板コースにします。あまり玄人的な店にすると、慣れているのでは、と警戒されますから。

勝負をかけた3回目の夜。

お店で少し強めのワインを飲んで警戒心を解かせてから、彼女が好きなワインの話で盛り上げる。

僕、実際はそんなにワイン好きではありませんが、女性を口説くアイテムとして有効活用しています。

奈々美ちゃんも、僕の家にあるワインを飲まないかと誘ったら、すんなりのってきました。


「いや?」と聞いて罪悪感を刺激しろ


そして、部屋に入ってからが本当の勝負。

プライドの高い女性は、「あなたが本気じゃないと、しない」というスタンスでいることが少なくありません。

彼女達は翻弄するように見せかけて、気持ちを確かめる行動を取ってきます。

例えば、「抵抗する」。奈々美ちゃんがキスを避けたのは、まさにそうです。

僕はこういう時、不安そうに「いや?」と聞きます。

すると女性側は、自分の方が立場が上だと安心するので、その先に進みやすくなります。「向こうがお願いするから、(仕方なく)してあげた」と。

それに、罪悪感も与えられるんです。「自分を好きな(しかも、自分も好意がある)男性を、傷つけたかも」と。

罪悪感を持つ人間には後ろめたさがあるので、その後のお願いを聞いてもらいやすくなりますよ。

また女性は、「好き」とか「付き合って」という言葉を引き出そうとしてくる。これが一番よくあります。

奈々美ちゃんも、「遊びならいやだな」と探るように聞いてきました。さあここで、彼女を手に入れる決定的なセリフの出番です。


最強のクロージング・ワード、発動


「好きじゃないのに、こんなことしなくない?」

いわゆる、逆質問です。

好きという明言は避けることで、責任は負わない。ついでに、話をそらす効果もある。

けれど女性は大体、「好きってことだよね」と思い込んでくれます。奈々美ちゃんも安心しきった顔をして、僕に身をゆだねてくれました。

彼女を煙に巻いた、僕が一枚上手ではないでしょうか。

彼女が僕を振り回していることを逆に利用して、彼女を獲得できたから。

ただ、実際彼女は読めない魅力があるのも事実。久しぶりに、また会いたいと思える女性でした。


行動で翻弄する女vs言葉で惑わす男…勝負の結果は?


「つきあう」という決定打を打たずに女性を獲得した男性と、結果として男に追わせて思い通りの恋を楽しんだ女性。

貴方が思う本当の勝者は、男?それとも女?


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印象操作で男心を巧みに操る、魔性の女。