たった1通のLINE。

その巧拙が恋愛の勝敗を決めかねないが、恋愛マニュアル情報は巷に数多くあれど、LINEの正解を教えてくれるコンテンツはほぼ見当たらない。

男女でLINEに対する捉え方は、全く異なるようだ。

あなたが送るそのLINE、気づかぬうちに間違えていないだろうか。



「ちょっとした、軽い気持ちだったんだよ。ただの、遊びだから。」

何度そう言っても、目の前にいる彼女の梨花は、完全にキレている。むしろ鬼の形相と言っても過言ではないほど、顔を真っ赤にして怒っている。

「私、かず君が浮気してること、知ってるんだからね。」

確かに、僕は蒼という女性と浮気をしていた。しかし、どう考えてもバレるはずもなく、全て完璧だった。

携帯を見られた形跡もない。蒼と梨花が、繋がる要素もない。どうして、梨花に気づかれたのだろうか...。



梨花と僕は付き合ってもうすぐ3年になる。

六本木のIT系外資企業で働いている梨花とは、知人が開催したホームパーティーで知り合った。

美人で、明るくて聡明。僕と梨花が深い仲になるのに、そう時間はかからなかった。

しかし、どんなに美人で最高の彼女でも、男はたまに新たな“刺激”が欲しくなる時がある。

例えて言うならば、大好きな鮨を毎日でも食べたいが、実際に毎日食べたら飽きる。時に塩辛い、ジャンクなラーメンが食べたくなるような気持ちだろうか。

3年目の浮気、なんて歌が大昔にあった気がするが、まさにそんな感じだった。

蒼と出会ったのは本当に偶然で、先輩の結婚式の二次会にいた、とびきり可愛い子が蒼だったのだ。

『麻布迎賓館』で催された結婚式は涙なしには語れないほど良い結婚式で、新郎新婦の友人たちは皆で仲良くなった。

二次会、三次会、ついには四次会まで続き、泥酔したのは言うまでもない。後から聞いた話だと、僕はかなり蒼を気に入っていたらしい。


翌日、蒼から来ていたLINEを見て、ようやく僕は状況が整理できた。



いつの間にか、二人で食事の約束をしていた。


デート中に本命彼女から電話がかかってくることは阻止したい男の本音

Q1:アリバイ作りも完璧。LINEの返信もしたし、どこに非がある?


最初は、本当に些細な気持ちであり、そこに深い意味はなかった。しかし結局蒼に惹かれ始めている自分もいる。

どう転ぶか分からないため、蒼との食事の約束の日、念のため事前に梨花にLINEを送った。



ちなみに達也先輩の結婚式で、僕は葵と出会った。蒼と出会ってしまったのは達也先輩のせいでもあるし、名前くらい使っても良いだろう。

少しの罪悪感と好奇心を抱きながら、蒼が待つ『礼華』のドアを開けた。



「和也さん、今日は酔っ払ってないんですね(笑)」

既に到着し、席に着いていた蒼はやはり二度見したくなるほど綺麗で、テーブル下から細い足が少し見え、思わずゾクっとする。

とは言え、彼女がいることを隠して遊ぶほど僕はまだ性根が腐っていない。そんなルール違反はしたくなくて、素直に蒼に伝える。

「あのさ、すっごい蒼ちゃんタイプなんだけど...実は、俺、三年付き合ってる彼女がいるんだ。」

「それ、この前も言ってましたよ。」

「え、そうなの?俺、そんなこと言ってた?」

一瞬、肩の力が抜けて拍子抜けした声が出てしまった。しかしそれと同時に、彼女がいると知りながら、二人きりでの食事に来てくれた蒼に、何か大きな可能性を感じずにはいられない。

「そんなことよりも、飲みましょうよ。」

乾杯が済み、蒼の仕事や僕の仕事の話、どこに住んでいるかなどの情報交換が進む。

蒼は丸の内で秘書をしており、住まいは四ツ谷。年齢も職業も出身校も、梨花とは接点がないことを確認し、ホッと胸を撫で下ろす。

しかし東京は狭いので、どこで誰が繋がっているのか分からない。油断は禁物だ。

そんな時に、テーブルの上に置いた携帯にLINEの着信が表示される。梨花からだった。

「LINE、見なくていいんですか?」

一瞬無視しようかと思ったが、無視をしたら後が怖い。葵とのデート中に、電話がかかってくるのが最悪パターンであり、それだけは阻止したい。

ごめん、と蒼に謝り、素早く返信を打つ。



よし、これで梨花から電話がかかってくることはない。

返信を打ち終え、蒼と向き合った。

「あのさ、今日のこと...」

「言わないですよ。私、そんな女じゃないので。でも、和也さんと一緒にいると楽しくて。誰にも言わないから、これからもこうやって会いませんか?」

蒼の美貌とその甘い蜜に完全にノックダウンとなり、そのまま関係が続くことになってしまった。


しかし、この後最悪の修羅場が待っていることなど、この時の僕は気がついていなかったのだ。


何故気づかれた?完璧な嘘とアリバイを見抜く女の勘なのか?

Q2:全て完璧だったはずなのに...一体どうして気がついた?


久しぶりの梨花とのデートだった。

断じて言うが、梨花を嫌いになったから蒼とそんな関係を続けていたわけではない。梨花がいるからこそ、蒼が引き立つとでも言うのだろうか。

男の勝手なエゴなのは分かっているが、誰かステディな人がいるからこそ、安心して他で遊べるというものだ。

だから梨花を見た時、古巣に戻ったような、妙な安心感を抱く。

「何ニヤニヤしてるの?気持ち悪っ。」

梨花が不審そうに見つめているが、何だかそれも新鮮に感じるのは嬉しい効果だ。映画館に入り、携帯の電源を切ろうとした時、一件のLINE通知が入っていた。



—蒼だ...


妙な不安が胸をかすめる。隣に梨花がいる状況でLINEを開くわけにはいかない。

「LINE来てるよ。見なくていいの?」

携帯に表示された通知を見て梨花に話しかけられ、慌ててはぐらかした。

「後ででいいや。仕事関係だったら面倒だし。」

そっか、と言う梨花を横目に映画が始まった。

上映終了後、お手洗いに行った隙に、LINEの通知機能をオフにした。





それからしばらく、梨花との関係も、蒼との関係もある意味安定していた。蒼とは月に1、2回会う程度だったが、梨花には気づかれていないようだった。

しかしある日突然、そのXデーはやって来ることになる。

呑気に風呂から上がり、缶ビールでも飲もうかと思ってふと振り返ると、梨花が携帯を握りしめてワナワナと震えている。

「ねぇ、昨日の夜何してたの?」
「え?昨日?昨日は(蒼と食事をしていたけど)別に何も。」


「浮気してるでしょ。」


人は危機感を感じると視界に入るものが全てスローモーションに見えると聞いたことがあるが、まさにそんな感じだった。

梨花の声が段々遠のいていく。遊びだったと必死に言い訳するものの、全く梨花の耳には届いていないようだ。


—どうしてバレたのだろう。


LINE以外で蒼と連絡は取っておらず、その唯一の手段(証拠)である、蒼とのLINEの会話は全て消している。

携帯を見られた形跡はない。

そもそも通知機能をオフにしているため、万が一、一緒にいる時に連絡が来たとしてもバレる可能性は極めて低い。


謝りながらも、いつ何を間違えたのか、必死に頭をフル回転させていた。


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LINEの答えあわせ【A】:彼女が彼氏の浮気を見破ったLINEとは?


<これまでのLINEの答えあわせ【Q】>
vol.1 盛り上がったはずが。よくある「突然の既読スルー」という地獄
vol.2 つい送りたくなる“俺通信”。マメに連絡する男がモテるのか?
vol.3 気になる子を誘いたい。「今から飲まない?」が嫌われる理由
vol.4 ナゼ気づかない?女性へ「元気?」と送る男の大きなミス
vol.5 「今日はありがとうございました♡」デート後すぐ来たお礼LINE。これ、脈アリ?
vol.6 好きな女性に嫌われたくない。スタンプで「察して」ほしい男心
vol.7 「仕事が忙しくて予定が分からない」を鵜呑みにする女
vol.8 食事後「楽しかった!またご飯行こう」で態度急変したのはなぜ?
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