ワインにもトレンドがある。今、ワイン好きに限らず売れに売れているのがロゼワインだ。

海外では夏の暑い日にキンキンに冷えたロゼを飲むことは定番の楽しみ方だったが、ついに日本にもロゼブームが本格的に到来!



Q.『エノテカ』GINZA SIX店の売り上げベスト3はすべてロゼ!なんでそんなに人気があるんですか?

――ぷふぁ〜。

柳「あれ?日も暮れぬうちからビールをあおって。」

――だって、柳さん。こう毎日暑くちゃ夜まで待てませんよ。

柳「ワインを飲みなさい、ワインを。」

――ワインはもちろん好きですけど……夏ってどうもワインを敬遠しがちですよね。

柳「がっつり濃いめの赤はたしかに喉を通りづらいけど、爽やかな白があるでしょ。リースリングとかソーヴィニヨン・ブラン、流行りを追うなら、イベリア半島北西部のアルバリーニョや、ギリシアのアシルティコもいいよ。」

――また舌を噛みそうな品種名ですね。白はついつい飲みすぎて、翌朝決まって二日酔いなんですよ。

柳「前回の教訓をすっかり忘れてるみたいだね(眉間に皺)。まっ、いいか。おや、これは?」

――飲みかけでひと晩ほったらかしのスパークリングワインです。すっかり気が抜けちゃって、もう飲めませんよね?

柳「氷を入れたコップにそのスパークリングワインを注いで、アンゴスチュラビターズを一滴、レモンかライムを絞って飲んでごらん。知り合いのソムリエさんから教わったんだけど、夏にぴったりのカクテルになるよ。」

――へ〜、早速試してみます。


欧米ではひと足先にロゼワインが大ブーム


柳「それから、こんな季節こそロゼの出番!」

――えっ、でもロゼって甘くないですか?

柳「むか〜し、東京中のビストロを席巻していたロゼ・ダンジュやマテウス・ロゼのイメージがいまだ強くて、ロゼは甘口と思い込んでる人が多いみたいだけど、世界中で造られているロゼの大半が辛口。むしろ甘口のほうが少数派だね。」

――知りませんでした。

柳「とくに今、世界中で辛口ロゼの消費が伸びていて、アメリカ西海岸のワインショップなんて、この季節はロゼを山のように積んで売ってるよ。4月にオープンした『エノテカ』のGINZA SIX店でも、初日から1ヵ月間の売り上げベスト3はすべてロゼだって。」

――うわっ! それじゃ日本にも、ロゼワインブームがやって来るかもしれませんね。私、ロゼを見くびってました。ロゼシャンパーニュと聞けば心ときめくのに、ただのロゼって中途半端な気がして。それで、柳さんのおすすめはなんですか?

柳「まずはロゼの本場、南仏プロヴァンス地方のロゼ。なにしろ生産量のほぼ9割がロゼという一大ロゼ産地だし、今では世界中の生産者がプロヴァンスを真似て、バラの花びらのような淡いピンク色のロゼを造っているくらい。」

――綺麗な色にも惹かれますね!

柳「デリケートで軽やかな味わいだから、蒸し暑い日本の夏にはうってつけ。」


意外とどんなメニューにも合う!そんな汎用性の高さこそ、ロゼワインの取り柄


――プロヴァンスのロゼにぴったりのお料理ってなんですか?

柳「なにせ地中海生まれのワインだから、魚介類でハズすことはまずない。イサキの塩焼き、ワイン蒸しにしたハマグリ、ロゼのもつハーブ香がワサビとも調和するのでお刺身ともいける。サラダやラタトゥイユなど野菜料理とも合うし、チキンやポークといった肉料理でも大丈夫。」

――お肉はどうでしょう?

柳「赤身肉の場合、ビーフは難しいかもしれないけど、ラムとならばっちりだよ。バターやクリーム、ソースなどは使わず、ミックスハーブと塩こしょうのようにシンプルな味付けが一番。なんにせよ、このヴァーサティリティこそロゼの取り柄だと思うな。」

――冬でも、ロゼと楽しめるお料理があったりします?

柳「鍋にいいねぇ。いろいろな具材をごちゃまぜにした寄せ鍋にロゼは、最高の組み合わせ。だってプロヴァンス名物のブイヤベースが寄せ鍋そのものだから。」

――いけない、この蒸し暑いのに鍋の話なんて聞いたら、汗が噴き出してきました。

柳「では涼しい話を。ロゼは冷やし中華にも合うよ。嘘だと思ったら試してみなさい。」

――へえ!明日のお昼は冷やし中華とプロヴァンス・ロゼにします。

柳「では私はこれから、コート・ダジュールでビキニの美女を眺めながら、冷え冷えのロゼワインを楽しむべく、ニースまでひとっ飛び。」

――うわ、ずるい!!


たとえば、こんな1本
「エスタンドン ソルスティス」

夜間の涼しいうちに収穫したサンソー、グルナッシュ、ロールをただちに圧搾。バラの花びらのような、この美しい色調こそがプロヴァンス・ロゼの命。フローラル、かつフルーティなアロマ。ピュアな果実味と酸味に、地中海の潮風を思わせる軽い塩味まで感じられる。

¥4,536/ロゼレガンス TEL:043-306-9911


教えてくれたのは、柳 忠之さん

■プロフィール
世界中のワイン産地を東奔西走する、フリーのワインジャーナリスト。迷えるビギナーの質問に、ワインの達人が親身になって答える