あなたの遊び方、間違っていないだろうか?

大人になり、ある程度の経済力を手にすると、遊び方の流儀が問われるようになる。

酸いも甘いも経験し、東京で遊び尽くした港区民たちの、次なる遊び方。

彼らの最新事情を、飲食店経営者であり港区おじさんジュニアと呼ばれる剛(32歳)が探っていく。

前回は週末の新たな過ごし方を知った剛。さて、今回は?



食事会後の連絡先交換は、LINEとInstagramが当たり前


「剛さん、Instagramのアカウント持ってますか?」

くっきりした瞳に長い手足が印象的な真美から、最近食事会に行くたびに耳にする質問を受けた。

ここ最近 、連絡先交換手段は様変わりした。数年前まで、出会った男女が交換するのはLINEとFacebookだった。

しかしこの1〜2年くらいで、LINEに加えInstagramのアカウントも交換するようになった。

「剛さんのアカウント名は、なんですか?」

真美が慣れた手つきで素早く検索する。

「フォロー返しをして下さいね」と言う真美に従い、彼女のInstagramをチェックすると、自撮りや旅先で撮ったらしきものなど、可愛らしい写真が並んでいる。

「真美ちゃん、フォロワー7,500人もいるの?すごいね。」

「全然。少ない方ですよ。」

そう言いながらも、真美はまんざらではない笑みを浮かべている。

「ところで剛さんは、裏アカ持ってないんですか?」

—裏アカ?

当たり前のような顔をして聞いてくる真美に対して、平静を装ってみるものの、Instagramの裏アカって何だ?と頭の中をフル回転させる。

SNSの波に乗り遅れるのは、かっこ悪い。まだ35歳なのに、すっかり老け込んだ気分にもなる。ここは素直に教えてもらうことにした。


乗り遅れるな!賢い女性は二つの顔を使い分ける

港区女子の新常識。Instagramのアカウントは2個持ちが当たり前


「裏アカ?それはみんな持ってる物なの?」

「ヤダァ〜剛さん、裏アカ知らないんですか?」

きゃっきゃと笑う真美を見て、素直に知らない、と言うと真美は続けて教えてくれた。

「Instagramの通常アカウントは、誰でも見ることができるし、最近ではビジネスライクな物になっているんです。自分ブランディングの場だから、本当のプライベートは載せられないじゃないですか。」

最近ようやくInstagramの投稿を開始した剛からすると、真美の話について行くのに必死だが、フムフム、と頷きながら聞く。

「だから、最近の港区系の人たちはみんな裏アカウント、通称“裏アカ”を持ってるんです。」

かなり大雑把な言い方をすると、オフィシャルアカウントとプライベートアカウントとでも言うのだろうか。

「裏アカは、親しい人しか承認しない。だから自分のもう一つのアカウントを知っている人は、本当の友達の証、かな。」

そう言いながら、今の港区のトレンドを次々と真美は教えてくれた。


裏アカは、趣味専門。高級店は、通常アカウントには載せないのが賢い女性


真美のもう一つのアカウント(裏アカ)を見せてもらうと、かなり値の張る高級店の写真ばかりがずらりと並んでいる。

『しのはら』『アピシウス』『虎白』『かんだ』に『スガラボ』『CHIUnE』...下手な港区おじさん達も真っ青の豪華なラインナップだ。



どう考えても、26歳の真美の財力では行けぬような店ばかり。

確実に、誰か“お食事がかり”の人がいないと、そんな所に行けないことは一目瞭然である。

「真美ちゃん、こんな良い店ばかり行ってるの?!」

「ふふふ。だからこそ、裏アカを作ったんですよ。」

港区女子は賢い(あざといと言うべきだろうか)。

最近の女性は、無駄に高級店を自慢すると裏に誰かいることがバレてしまうため、敢えてビジネスクラスでの旅行や高級バッグ、予約の取れない店をSNSにあげない子が増えている。

でもせっかくの“キラキラ”体験。誰かに見せたい欲もある。そこで役立つのが、もう一つの別アカウントだと言う。

「言うならば、メインのアカウントはフェイクな生活。本当の私生活は、裏アカで暴かれますよ。」


盛り上がる裏アカコミュニティー。一つもないなんて、ありえない?

オープンコミュニティーからクローズドコミュニティーへ


「では剛さんに質問です。良いお店、いわゆる一人3万円以上するような店の写真がずらりと並ぶ女性と、手料理を載せている女性、どちらと結婚したいですか?」

真美の質問に少し考えては見るものの、答えは明白だった。

グルメな女性は好きだ。“良い味を知らないと、美味しい料理は作れない”と言われるように、本当に美味しいものを食していない人とは結婚できない。

しかし正直に言うと、自分より良い店へ行っている女性に対しては、少し尻込みしてしまう。

男性は、女性の“初めて”が大好物。行ったことのないお店に連れていってあげたいし、驚いて欲しいと思っている。

店を選ぶ際も、すでに有名店、人気店を制覇している女性はやはり怖気付く。

「だから、未婚の港区女子たちは、SNS上で自分たちを偽るの。でも人一倍顕示欲が強い彼女たちは、どこかに発信したいし、誰かに見てもらいたい。だから裏アカウントを作って、投稿するんですよ。」


—それでは隠したいんだか、自慢したいんだかどっちか分からないではないか!


そんな指摘をもろともせず、真美は自慢げに自分のレストラン専用アカウントを見せてくる。そして僕のアカウントを見て、嘲笑った。

「剛さん、フォロワー少なくないですか?(笑)。男性も、使いこなさないと!今ではSNSの人気度で、その男性のランクが判定されちゃいますからね。」



SNSのフォロワー数=その男性の認知度=自慢できるかどうかの判定基準?


男がSNSに必死になるのはかっこ悪いことだと、未だに心のどこかで思っている。

プライベートを曝け出すのは好きではないし、自撮りなんてもってのほか 。他人に見せたいがために生活をしている訳ではない。

「そういう考え、古いなぁ。」

ーふ、古いのか...

「最近では男性でも、フォロワー数が多いと一目置かれる存在になれるし、自分のメリットになりそうだと嗅ぎつけた、嗅覚の鋭い港区女子たちからはモテるのに!」

たしかに、ここに来て突然Instagramの投稿に力を入れ始めた港区おじさん達の顔が何人か思い浮かぶ。数年前まで、皆Facebookに必死だったのに。

気がつけば時代は変わり、Instagramは当たり前になっていた。

「オープンではなく、クローズドコミュニティーで、限られたごく一部の人だけに発信するのが、本当の自分なの。」

その情報は、そのコミュニティーに入っている人以外、手にすることもなければ、耳にすることもない。

「じゃあ、裏アカを見れば真美ちゃんの本心が分かる、ということかな?」

「ふふふ♡剛さん、次に好きな子ができたら、裏アカをチェックした方がいいですよ!その子が本当はどんな子で、どんな甘い蜜を吸って生きているのかよくわかるから。」

表の顔だけではわからない。

一見どんなに清楚系でも、女には必ず、裏の顔がある。気になる彼女の裏アカウントを見た時、彼女の化けの皮が剥がれるのかもしれない...


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“事務所兼遊ぶ部屋”を持つ港区民たち?