お受験にも合格、順風満帆だった幼少期
越川友貴


「私、引きこもりだったんです。心に闇を抱えていたというか……」

憂いを湛えた黒い瞳、シルクのような質感の肌――――。
美しいだけでなく、会話での言葉選びのセンスが知的で、声のトーンも朗らかな越川友貴さんが引きこもっていたなんて、にわかには信じられない。

一体この美女は、どんな人生を送ってきたのだろうか?



「小さい頃はおとなしい子どもだったと思います。2歳くらいから受験のために塾に通っていて、塾の休み時間でも友達と話をするより本を読むようなタイプでした。母が獣医で、私にも同じ道に進んで欲しかったんだと思います。教育には熱心な家庭でしたね」

なるほど、きれいな言葉を選ぶセンスは、この頃に身に付いていたのかもしれない。

「無事に私立の小学校に合格しまして、そのままエスカレーターで中学に上がりました。それで、中学生の時に友人に裏切られて、引きこもりがちになってしまったんです……。いま思えば、大したことではないかもしれません。でもあの頃は自分を持っていなかったというか、人に合わせることしかしていなかったので、ひどくショックを受けたんだと思います」



不登校で部屋に引きこもる友貴さんを、教育熱心なご両親は心配した。環境を変えたほうがいいという結論に達してからも、このタイミングで公立中学校に編入してもうまくいかないと判断、編入できる私立中学を探してくれたという。

「でも、転校先でもなじめませんでした。裏切りがよほどショックだったんでしょうね。人はもう信用できない、とシャットダウンしていたんです。友達なんかできるわけありませんよね」


挫折が続き、フリーターとして過ごす日々


このままではいけないと思った友貴さんは、小学生の頃に通っていた芸能アカデミーのことを思い出した。

「芸能人を目指していたというより、習い事のひとつぐらいに考えていました。生まれも育ちも千葉なので、東京に憧れがあって(笑)。アカデミーは東京なので、通うのが嬉しかったんです。それで、そうだ芸能の道もあるかもしれないと思って、雑誌を見てモデルの仕事を始めました」



けれども、そこからとんとん拍子というわけにはいかなかった。

「高校生の頃はラウンドガールとか人前に出る仕事をするようになっていました。とあるオーディションで事務所の方にスカウトされて、事務所に入ってみたんです。でも、思っていた世界と全然違いました。芸能のお仕事をしたいなんて思っていたんですが、仕事も全然なくて、結局フリーターになりました」


この後、フリーターになった彼女に人生の転機が訪れる!


そんな時、ひとつの転機というか、出会いがあった。IT系の企業でアルバイトをすることになったのだ。


「IT企業の女性向けコンテンツを作る仕事で、恋愛とかファッションを担当しました。そのうち、ライターとして記事も書かせていただくようになって、やり甲斐も感じるようになったんです。

私は学校にもなじめなかったし、社会性が身に付いていないという劣等感がありました。だから会社勤めはアルバイトといえども難しいと思っていましたが、そんなことはなかった。人生を真面目に考えて生きている、きちんとした社会人と出会って、会社も悪くないと思い始めました」

会社勤めを経験して、組織の一員として動くことを学ぶと、友貴さんの周囲の風向きが変わった。



考え方が変わると、仕事も入ってくるようになった


「きっと考え方の変化が態度や雰囲気に表れたんでしょうね。イベントコンパニオンとかキャンギャルの仕事が安定して入ってくるようになったんです。芸能を目指すのとは違う感覚で、自分が出来ることを全力でやろう、いただいたお仕事を一所懸命にやろうという気持ちになってからは、レースクイーンも東京モーターショーのお仕事もいただけるようになりました」

段々と自信が付いてくると、いままでは考えたこともない、「ミスコンにチャレンジしてみよう!」という気持ちが芽生えてきた。



「そこで、ミス・スプラナショナルというミスコンに応募したんです」

2009年に始まったミス・スプラナショナルは、世界120カ国以上の計1億人以上がショーを見る、大規模な大会だ。友貴さんは、2017年の日本代表に選ばれ、12月にはポーランドのワルシャワで行われる世界大会に出場する。

「きれいなだけでなく、ウォーキングの美しさやスピーチ、体作りなど、いまは様々なトレーニングを積んでいます。大事なのは、海外の出場者はすごくメンタルが強くてポジティブだということです」



友人に裏切られひとり部屋に籠もっていた少女が、メンタルの強化に励むようになるというのは、何か因縁めいたものを感じる。

そして友貴さんは、世界大会の先の未来も見据えている。

「女性向けメディアの仕事をしていた時に、女性がきれいになる手助けをすることに手応えを感じたんです。だから世界大会で得た知識を活かして、女性を応援するような仕事にもチャレンジしたいですね」



下町の雰囲気が残る麻布十番が好きだと言う友貴さんの好みの男性は、「こだわりを持っている人」だとか。

「洋服や音楽など、何かにこだわっている人に惹かれます」と明るく笑う友貴さんの表情からは、“闇”の存在は感じられない。

少し時間がかかったけれど、彼女の人生には再び光が差し始めた。あと数カ月、ワルシャワに向けてトレーニングに励む友貴さんを応援したい。