「最近、良い出会いがない」

未婚・美人の女性に限って、口を揃えて言う言葉である。

しかしよくよく話を聞いてみると、その真意はこうだ。

「理想通りの、素敵な男性がいない」

経験値が高いゆえに、自分のことは棚に上げて「あれはダメ」「そこがイヤ」と、男性に注文ばかりをつける女たち。

これはそんな自らの首を絞めている、全東京ガールに捧げる物語である。

「注文の多い女たち」一挙に全話おさらい!


第1話:32歳の美女、並の25歳に惨敗。その理由は若さだけなのか?

「亜希。俺、海外に行くことになった」

あれは確か、2012年の11月。風が急に冷たく感じられた夜だった。

移転オープンしたばかりの表参道『CICADA』で、当時付き合っていた同い年の彼・貴志(たかし)が、わざとらしく咳払いなんかした後で、そう言ったのはー。

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第2話:気づけば32歳。自由な時間・お金と引き換えに手放したもの

改札内に消えていく親子の後ろ姿を見送りながら、亜希は自分の身軽さに心底ホッとした。亜希の手荷物といえば、ラドローのかごバッグ1つである。

「お待たせ〜♪」

歌うような声がして、右斜めからひょいと顔をのぞかせたエミを見て、亜希は思わず笑ってしまった。

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第3話:久々に現れた”私を好きだ”という人。でも、一体私の何がウケた?

「百合ちゃんこそ、“ふさわしい人”探すの大変そうだよね。どう見ても金のかかる女なのに本人にその自覚ないからな...って、人のこと心配してる場合じゃないんだけどさ」

エミがひとり突っ込みをして舌を出すので、亜希も笑いながら大きく頷いた。百合が未だ独身である原因は、亜希から見てもエミの言う通りだと思う。

...ふたりとも、人のことなら手に取るようにわかるのだ。

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第4話:「ふさわしい男」を探して迷走するアラサー。大人の恋に妥協は必須?

「ちょっとそんな、大げさよ」

すると百合は顔をブンブンと横に振り、「違うの」と言うのだった。

「身にしみるのよ。実は私、この間“婚活パーティ”に参加したんだけど...なんかもう、悲しくなって来ちゃって...」

恵まれた環境で育った証ともいえる、疲れ知らずの白肌。そこに上品に配された血色の良い唇。それを歪めながら話す百合の言葉を、亜希は呆然としながら聞いた。

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第5話:求む、西麻布未上場の男。東京ナイトシーンに結婚向きの男は皆無?

「あーあ。私にふさわしい男、一体どこにいるんだろ...っていうか、なんかもはや本当に存在しているのかすら疑問に思えてくる」

大げさにため息をついてみせる亜希に、エミが「私もだよー」と被せる。そして、何かを思い出したように急に真顔になったと思ったら、こんなことを言い出すのだった。

「私、気づいたんだけど。東京ナイトシーンに、結婚向きの男はもういないわ」

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第6話:結婚に必要なのは、優れた点の多さではない。「ダメな部分を許せるか」

「自分の方がいい女だって、言いたいんだろ?」

「いや、別にそんなつもりじゃ...」

その通りだが、ズバリ言い当てられ亜希は口ごもる。気まずさから目をそらし2杯目の赤ワインを流し込んでいると、貴志はゆっくり口を開くのだった。

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第7話:7年かけて整理した気持ち。それを一瞬でぶち壊す、卑怯な男の言葉

「貴志と別れた後、誰も待ってない家にひとり戻った時の虚しさと言ったら...そうだ、あの夜、エミ何してたの?LINEしたのに、全然既読にならないんだもん」

わざと唇を尖らせて抗議の目を向ける。

「ああ、そ、そうね...」

すっと、視線を外すエミ。歯切れの悪いその対応は、確実に「何か」があったことを語っている。暫しの沈黙が、ふたりを包む。エミは、逡巡するように目を泳がせると、思い切ったように頷き、そしてゆっくりと口を開いた。

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第8話:婚活は先手必勝。あれこれ注文つけてる間に、結婚向きの男はあっさり奪われる

「ほら宮田さん、真面目で優しいから。結婚向きの男って感じですもんね。メガバンク勤務なら安定は間違いないし、結婚したくてたまらないにゃんにゃんOLに捕まっちゃったかな。宮田さんも、見る目ないですねー!」

マミちゃんが早口でまくし立てる言葉が虚しい。亜希は押し黙ることしかできなかった。

海外志向がない、などと瑣末なことを取り立てて、自分の理想と少しでも違うことに亜希が勝手に幻滅している間に、目ざとい女たちは「結婚向きの男」を見逃さず、瞬殺でさらっていくのだ。

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第9話:眼中になかったはずが...注文の多い女がメガバンクの年下男に惹かれた理由

「...やばい、そう言う私こそもう5年もまともに彼氏いなかったわ...」

救いようのない事実に、亜希は思わずエミと顔を見合わせる。そして、ふたり揃って爆笑した。涙が出るほど笑った、その後だった。

LINEの着信音が聞こえて、亜希は傍に置いたスマホに手を伸ばす。トークルームに表示された名前を一瞥した瞬間、胸がどきんと高鳴って思わず息を飲んだ。

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第10話:年下男と過ごす甘い夜。久々の恋に浮かれる注文の多い女が、彼の部屋で気になったこと

「…本当に、彼女じゃないの?」

考えるより先に口から溢れた言葉は、そうであって欲しいという願望にしか聞こえなかった。言ってしまってから、亜希は自分で自分がわからなくなる。ディナーは、そろそろ終盤だ。夜が更けるにつれ、カウンターに並ぶ他のカップルたちの親密さも増している。

「あのね、亜希さん」

賢治が、亜希の顔を覗き込むようにして身体を近づけ、ふいに改まった表情を見せた。

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第11話:どんな高級美容液より効果抜群。32歳女に必要なのは、安定した恋愛

“亜希ちゃん、今日夜家に来ない?”

火曜日の午後。代官山のセレクトショップでの商談を終えたタイミングで、賢治からLINEが届いた。賢治はマメな男で、あの夜以降、毎日欠かさず連絡が来る。

「亜希さんが好きなんだ」というストレートな告白、店のムードとワイン3杯を飲み干した勢い、そして若い美女より自分が選ばれたという優越感。様々な要因が絡み合って亜希の感情を揺さぶり、誘われるまま賢治の家で一晩を過ごしたのだった。

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