カウンター寿司を食べに行くとなれば、やはり始めは誰でも緊張するはず。

そんな時覚えておきたいのが今回紹介する『後楽寿司 やす秀(やすみつ)』である。店主・綿貫氏が仕掛ける演出に一度訪れたらまた通いたくなること間違いなしだ。


目印は小さな表札ただ1つという佇まいにそそられる

地下鉄四谷三丁目駅、JR四ツ谷駅、それぞれから徒歩5〜7分ほど。大通りから外れた小径にある一軒屋。そこが『後楽寿司 やす秀』である。

創業50年の老舗を切り盛りするのは、二代目店主・綿貫安秀さん。

彼が移転先を探す際に、こだわり抜いたというこの立地は、まさに大人の隠れ家。グルメな大人が放っておかない名店の雰囲気が外観からビシビシと伝わってくる。


席に着きふと気がつくと、あの入口で感じた緊張はどこへやら……すっかり消え去っていることに驚く。コレが「やす秀マジック」である。

「楽しく寿司を味わって欲しい」という想いが強い綿貫さん。そのため初めて来た人でも、自然とリラックスした気持ちになる。


一貫毎に異なる温度で供されるシャリに技あり

まず注目したいのは羽窯炊きのシャリだ。幾度となく失敗を重ね試行錯誤の上に完成した酢を強めに効かせたシャリは、ネタ毎に温度を変えて提供される。

食材がもつ美味しさを、最大限に引き出せる「温度」はやはりそれぞれ違うもの。

その温度を研究し尽くして握られた鮨は、口に入れるとお米一粒一粒がしっかりと存在感を発揮しつつも、一瞬にしてネタと一体となりするりと喉を通っていく。


やす秀一番人気のふわふわ穴子


「ノドグロの蒸し寿司」


そんな握りのみを楽しみたいならば「おまかせ握り」がおすすめ。綿貫さん自ら毎朝築地に出向き仕入れるネタは、その時期一番美味しい旬の味わいばかり。

例えば、この日は「アオリイカ」から始まり、「クエ」、「赤身」、「トロ」、「こはだ」、「車海老」、「アジ」、「うに」、「ノドグロの蒸し寿司」、「煮ハマグリ」、「サクラマスの薫製」、「穴子」の12貫、巻物付を提供。


同店をこの時期訪れるならば「うに」は必食。綿貫さんオリジナルの握り方であるうにの握りを小さな海苔でサンドするスタイルも一興だ。

また、握りの中にはアツアツで提供される蒸し寿司や、藁で薫製にしたネタが一貫ずつ入るのも綿貫さんのこだわりのひとつ。

コースの合間にこのような変化球が加わることで、「次はどんな握りが…」と期待をどんどん高めていける。


うにもあわびも技ありの美味しさ!

鮨屋には珍しいスペシャリテがスゴい!

全25品が楽しめる「おまかせコース」(1人前17,000円)も気になるところ。今回はコース内の人気の逸品を紹介しよう。

まずは同店のスペシャリテである「鮑」。千葉県産の鮑をじっくりと低温で7〜8時間程煮込み、味付けは塩のみ。

柔らかくプリッとした食感で噛む度に旨みが口いっぱいに広がっていく握りとつまみ。鮑の肝とシャリを合わせ、ウニを乗せたワンスプーンにテンションが上がってしまう。


「うにリゾット」も人気。うにをたっぷりと使用し、シャリと合わせて仕上げるリゾットは、まさに旨み爆弾。うにの旨みを纏ったシャリを口に運ぶ度に笑みがこぼれてしまう美味しさである。

これら2品は「おまかせ握り」(8,900円)に追加注文も可能なので、予約時に追加したい旨を伝えよう。


また全25品を提供する「おまかせコース」はボリュームも満点なので、随時「シャリの大きさどうなさいますか?」などと、声を掛けつつ提供してくれる心遣いも欠かさない綿貫さん。


彼の軽妙なトークを楽しみに訪れる常連も多いのだろう。

笑顔の絶えないカウンター寿司に、一度訪れればきっと虜になること間違いなしだ。奥には個室も備える。